最初で最後かもしれないデート
ひとりずつ傘をさして
外はしとしと小雨だった。
今となっては何ら問題を感じないけど、当時はポーカーフェイス気味プラス、マスクってことで、表情の見えにくいとらんくんと、お互いに傘をさしながら、歩いた。
ほとんど眠れてなくて、朝ごはんも食べられてなくて、それを伝えると近所の「スタバでも行こっか」となった。
とらんくんは朝ごはん済ませて来たから、コーヒーでいいと。
私は季節限定の桃フラペが飲みたくて飲みたくて(空気的に言いづらかった)ちょっと、ラッキー。
2階の席でお互いに1人用のテーブルについて、外を眺めつつ。
とらんくんは時々、話しかけてくれたけど、「あと何分で解散って言われるのかな」って考えに覆われていて、「うん、うん」とかしか、言えなかった。
「どうしようかな、つまんないのかな」と思っていたらしき事をのちのち、とらんくんが教えてくれた。(ごめん。ていうか、木綿。)
あれ?
スタバを出た後、電車に乗ってどこかへ連れて行ってくれる事になった。おや?
聞けばミッドタウンという所に連れてってくれるのだそう。
会うことが決まった時に電話で、どうしても行きたいお店がある事をとらんくんは覚えていてくれた様で。(ちなみにエシレさん)
しかも、お昼ごはんの話も出てきた。あれ?
とらんくんレコメンドのとんかつを食べたんだけど、30分解散説が払拭出来たわけではないので、殆ど食べられなかった。でも、苦手なお天気の中、そしてとらんくんだって不安のある中こうして来てくれたから、そこはキチンと話そうと思って。
東京の人が肌身に感じている空気感と、地方都市に住む私の感覚にはやっぱりギャップがあったであろうこと、自分なりには精一杯配慮したつもりだったけど、もし足りなかったならごめんなさいということ。
あと、「会うのはよそうか」というのは、心にもない不本意な発言だったこと。
とらんくんは依然ポーカーフェイス(に見えた)けど、その辺りから少し緩んだような。
30分経過してゐる
時系列は前後するけど、以前とらんくんが腕時計が好きだと、写真を送ってくれていたのを思い出した。チャラチャラしたものじゃないし、とらんくんが好みそうな実直なビジネス感のあるもので、どちらかと言うと私はそのきれいな長い手指が素敵だと思っていた。
私はキッズ用の手袋がジャストな残念な手なので、食後に思い切って「コレいつか話してた私の手」と差し出した(中高生か)ら、彼は手を出してキュっと握ってくれた。「えええええ何コレーー!!!!!」倒れるかと思った(だから中高生か)
ランチの後、エシレに行き、欲しかったミーハー心くすぐるトートバッグと、富豪のデザートのようなアイス(バカうま)を買って、スプーンをしれっと2つもらって、ミッドタウンで座る場所を見つけた。
はじめは、ふたりの間に荷物を置いた。線をひかれて傷付くよりは、はじめから距離があった方がマシだと無意識に自分を守ったのかも知れない。
ところが。