「あなたのため」という名の「自分のため」に注意
こんにちは。
響心(にこ)です。
これは、ずっと感じてきたこと、
そして自戒を込めての記事です。
「あなたのためだから」
若いときは特に、こんな言葉をかけられることが多いように思います。
実際にかけられた覚えがある人もいるのではないでしょうか。
この言葉、どのように受け止めますか?
私もあらゆる場面で言われたことがありますが
「私のために言ってくれてるんだ…!」
と思えたことは一度もありません。
何故なら、この言葉は
一見私のためを思っているようで
実は、言葉を発する本人のための言葉だからです。
実例1
高校生のときバイトをしていたのですが、
卒業が近くなり、進路やら引っ越し準備やらで忙しくなり
バイトを辞めようと思ってチーフに話をしました。
そのとき確か、こんな返事が返ってきました。
「そうなんだー。
でももうちょっと続けた方が良いんじゃない?
新生活はお金かかるし、
まだしばらく続けてお金貯めておいた方が
響心さんのためにも親御さんのためにも良いと思うよ?」
私が金銭以外の理由で辞めると言っているのに
金銭とか親を出して引き止められたことに、
当時とても違和感を持ちました。
言葉の裏を返すと
「人手足りなくなって新しい人入れるのめんどい」(=チーフのため)
てのが本音かな、と容易に想像ができてしまい
冷めた気持ちで受け止めたことを覚えています。
実例2
「お前のために言ってるんだ」
これをよく言ってきたのは、親でした。
うちの場合は、セットでこれもついてきました。
「お前を心配して言ってるんだ」
「お前も大人になったらわかるようになる(だから言う通りにしろ)」
いやーー、今になってもわかりません。
大人になろうがわからないものはわからないです。笑
うちの親は、普段とちがうことや変化が苦手で、
自分の想像の範囲内のことしか対処ができないようです。
なので、その範囲を超えることはすべて
「お前のため」「心配」を理由に押さえつけようとしてきました。
結局、親の思う「心配」な事態を避けるために
私を想像の範疇に置いておきたかったんだろう(=親自身のため)
と理解できるようになったのは、最近のことです。
そもそもそんな事態にはならないんだけどね。
理解できたことで、流せるようにもなりましたが
それでも未だに同じパターンで同じ声掛けをされて
イラッとしてしまうこともあります。
考察
どちらの実例も、
私をコントロールしようとする心理が働いていますよね。
人は「コントロールしようとされている」状況を無意識に察するので、
「あなたのため」は好意的に受け取られないのではないかと思います。
根底にはその人自身の問題が隠れているので、
「あなたのため」じゃなくて
その人自身の視点で声をかけることで
相手の受け取り方が変わってくるはずです。
これ、心理学用語で
「アイ・メッセージ」と言います。
(「私」を主語をにする話し方。)
上の2つの実例も、こんな言い方だったら
私はちがう印象を持っていたかもしれません。
チーフ
「(私は)今辞められたら困るから、もうちょっと続けてよ」
親
「(私は)初めてのことでよくわからないから不安に思ってるんだ」
実例3
私自身、夫婦関係において
相手をコントロールしようとして失敗した経験があります。
当時はもちろん
「コントロールしてやろう!」と意識していた訳ではありません。
ただ、先ほども書きましたが
無意識を察するんですよね、人って。
今思えば、当時私の心の底には
不安な気持ちがくすぶっていて、
それを夫の問題にすり替えて丸ごとぶつけていたのかもしれません。
夫は最初の頃こそ話を聞いてくれていましたが
だんだんと衝突することが多くなりました。
自分がされて嫌だったことを、結局は人にもやっていました。
(それに気づいたのもごく最近のことですが。)
コントロールに気づく
「あなたのため」
「あなたが心配だから」
「こうした方が絶対いい」
この辺のセリフが自分の頭に浮かんだときは
まさに相手をコントロールしようとしています。
果たして本当にそうなのか
一呼吸間を置いて考えてみると良さそうです。
この言葉の影には、
先ほどの私の実例のように
不安が隠れてることが多いように思います。
押さえ込んでいる気持ちを抱えていないか?
自分自身に目をむける機会にすると
意外な気づきや学びが得られるかもしれません。