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あめんぼ/ameusa
2020年8月22日 23:28
短編小説です。それはある初夏の頃だった。遠くに流れる川のせせらぎを捉えながら、なぜか慣れない山道を歩いていた。半袖から出る肌には少し涼しい風があたっていて、空気は静寂を保っていた。綺麗に舗装された道の右側は断崖絶壁で、下を除いても雲海が見えるだけで、そのさらに下を見ることは叶わなかった。真っ直ぐに続いていた道が少し行くと、どうやら左に曲がっているようで、少し先は春霞と合わさり、ぼやけて見え