メタバース空間で学生向けの会社説明会を開催!【DXの現場から】
ニチレイが今年3月にオープンさせた「ニチレイCOLDワールド」というメタバース空間について、先日の記事でご紹介しました。ニチレイが誇る「冷力」を、ゲームを通して体感していただける空間となっていますので、ご興味のある方は、ぜひ訪問してみてください。
ニチレイグループではこの夏、新たにメタバース・プロジェクトを実施しました。それが、就職活動をしている学生を対象とした新卒採用の会社説明会です。
ニチレイとしてはもちろん初の試み。また、新卒採用の取り組みとしてもめずらしく、先進的と言っていいのではないかと思います。そんな「新しい採用活動のカタチ」の狙いと手応えについて、担当者に話を聞きました。
※ダイジェスト動画およびスクリーンショット画像は、参加者のお名前が表示されないよう画面の一部を加工しています。ご了承ください。
ニチレイも学生も新たなチャレンジ
「最初にメタバースを活用したのは新入社員研修でした。『ニチレイCOLDワールド』を見て面白そうだと取り入れてみたものの、通信回線が弱くてアバターが思うように動かないなどの問題があり、手応えはまったくありませんでした」。そう笑って振り返るのは、ニチレイ人事企画部の土井悟さん。
その一方で、近年、学生の就職活動がどんどん早期化しているなか、これまでどおりの採用活動をしていてはダメだ、という危機感もあったと言います。同じく人事企画部の松本美奈さんは、「ただ待っているだけでは学生は来てくれない」と昨今の採用状況について説明します。
そこで、アイデアを絞って実施したのが、メタバースを使った会社説明会だったのです。グループの採用ページに登録している3年生向けに告知と募集を行ったところ、メタバース空間のキャパシティに迫る100人近くの学生が応募してくれました。
しかも、それまでのオンライン開催の説明会にも参加したことがなく、メタバースの会社説明会が初参加、という学生が全体の6割以上。申し込み時のアンケートでも「メタバースに関心があった」「メタバースで開催される説明会というものを初めて聞いて、興味が湧いた」といった声が多く、メタバースが大きな後押しになったことがわかります。
実際に参加した学生のうち、過去にメタバースに触れたことがあると回答したのは、たったの4人。ニチレイ側も初開催で不慣れな中ではありましたが、実は学生たちもほとんどが初めてのメタバース体験だったわけです。とはいえ、若さと柔軟さを誇る学生たち。すぐに慣れて、空き時間にはメタバース空間内を走り回って楽しんでいる人も結構いたのだとか。
未来の就職活動を体験
今回の会社説明会では、グループの4社それぞれについて特色を知ってほしいという思いから、時間を区切って、全員に全社のブースを訪問してもらいました。各社は、自分たちのカラーを打ち出すべく空間づくりにも工夫を凝らして、さながら合同説明会のような雰囲気になったようです。
また、空き時間に自由に見て回ることができるスペースを作り、そこには各社を紹介する掲示物や動画などを設置。さらに、最後に設けたフリータイムでは、採用担当者に積極的に質問をしてくれる学生もいて、しっかりとコミュニケーションが取れたことに手応えを感じた担当者もいたそうです。
「これまでも、オンラインでの説明会は開催していますが、どうしても一方的に伝えるだけになり、もっと双方向のコミュニケーションをしたいという思いがありました。メタバース空間を活用したことで、その狙いは実現できたかなと思います」(土井さん)
課題は、やはり通信回線。今回はより強い回線を確保するために大きなスタジオを借りて、そこに全社の採用担当者が集まってもらう形を取りましたが、それでも開始30分前にトラブルが発生。しかもマイクが想定どおりに使えない……などなど、土井さん曰く「現場はとてもバタバタでした(笑)」。
それでも、学生からは「新しい参加方法ですごく楽しかった」「自分がアバターを動かして移動していくのが楽しかった」「社員との距離を近く感じた」「未来の就職活動はきっとこういうふうに行われていくんだろう」など好意的な感想も多く寄せられ、「やってよかった」と松本さんは笑顔を見せます。
「学生から『参加してよかった』という感想をもらえたことが、純粋にうれしかったです。自分自身にとっても、新しいことに一歩を踏み出す刺激になりました。今後はメタバースに限らず、新しいものを取り入れた採用方法をどんどん提案していきたいなと思っています」(松本さん)
ニチレイグループの魅力発信に向けて
冷凍食品でおなじみの「ニチレイフーズ」の印象が強いニチレイグループですが、低温物流を手がける「ニチレイロジグループ」や、水産・畜産事業を行っている「ニチレイフレッシュ」、さらにはバイオサイエンス事業の「ニチレイバイオサイエンス」と、その事業は多岐にわたっています。
「ニチレイが持つたくさんの顔を、ひとりでも多くの学生に知ってもらいたい。まずは話を聞いてもらい、ニチレイの面白さを知って興味を持ってもらえる場を作りたい。メタバースは、そのきっかけのひとつになるだけでなく、DXをはじめ先進的な取り組みを積極的に行う企業だというブランディングにもなると感じています」(土井さん)
コロナ禍を経て、学生たちの間でも直接出向くことに対するハードルが高くなっています。また、リアル開催では参加が難しい学生が多いことも事実。全国各地の学生が集まってくれた今回のメタバースによる会社説明会は、ニチレイと学生たちとの新しい出会いの場になったのかもしれません。
ちなみに今後は、内定者向けのメタバース交流会を計画しているそうで、学生からも楽しみにしているという声が上がっているとか。また、就職活動を始めたばかりの1〜2年生を対象とした説明会をメタバースで開催するのもいいかもしれない……と新たなアイデアも湧いているようです。
従業員ひとりひとりの知識・スキルの向上によってグループ全体のDXをめざすニチレイグループでは、これからも新しい取り組みに果敢にチャレンジし、グループ各社の魅力を広く発信していきます。そうした活動はこのnoteでも随時お届けしていきますので、ぜひ楽しみにしてください。