二十四節気とゆたかな暮らし#01
皆さんは、日々の暮らしの中で四季の移ろいや、日本の豊かな文化に触れる瞬間はありますか?実は、少し意識を向けるだけで、私たちの日常はより豊かに彩られるんですよ。
例えば、二十四節気という暦を知ると、季節の変化をより繊細に感じ取れるようになり、その季節に合わせた行事や習慣を取り入れることで、心にゆとりが生まれ、生活にも潤いがでてきます。
日本文化の素晴らしさを多くの方と共有したいという思いから、「二十四節気とゆたかな暮らし」でご紹介した内容の一部を、ここでお伝えしていきたいと思います。豊かな日本文化の旅に、皆さんもぜひご一緒しませんか?
今月のこよみ
小暑 7月6日(土)
小暑は「暑さがまだ小さい」という意味を持ち、本格的な夏の暑さが始まる前の時期を指します。
この頃は、梅雨明けが近づき、蒸し暑さが増し朝顔やひまわりが咲き始め、夏の訪れを感じさせてくれます。
また小暑の時期には、日本の夏の風物詩である暑中見舞いを送る習慣があります。暑中見舞いは、相手の健康を気遣い、暑さをお見舞いする挨拶状です。小暑から立秋の全日までに送るのが一般的で、日頃の感謝を伝える良い機会となります。
しかし、近年ではデジタル化の進展に伴い、手紙を出す習慣が減少しています。暑中見舞いもSNSやメールで済ませる人が増えてきました。便利になった反面、手書きの温かみや、はがきが届く楽しみが失われつつあるのも事実です。そのため、あえて手書きの暑中見舞いを送ることで、特別な思いを伝える人も増えています。
農事では、田植えが終わり、稲の成長を見守る時期。野菜や果物も豊かに実り始め、夏野菜が食卓を彩ります。冷たいものの取りすぎに注意し、バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけましょう。旬の食材を使った料理や、さっぱりとした和菓子を楽しむのもおすすめです。
小暑は、夏本番への準備期間。身体と心の調整を行いながら、これから訪れる夏の暑さに備える大切な時期です。デジタルか手書きかにかかわらず、暑中見舞いを通じて人とのつながりを大切にしつつ、涼やかな夏の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
大暑 7月22日(月)
大暑は「暑さが最も盛んになる」という意味を持ち、一年で最も暑い時期を指します。
この時期、日本の多くの地域で梅雨が明け、青空が広がる一方で、厳しい暑さが続きます。蝉の鳴き声が響き渡り、夏の盛りを実感させてくれます。
大暑の頃には、各地で夏祭りが盛んに行われます。神社のお祭りや花火大会など、日本の夏の風物詩が楽しめます。浴衣姿で祭りに出かけるのも、この季節ならではの楽しみ方ですね。
暑さ対策が特に重要になるこの時期。こまめな水分補給や、冷房の適切な使用が欠かせません。また、旬の食材を使った冷やし中華や素麺など、涼を感じる料理も夏バテ予防に効果的です。
大暑は日本の夏がピークを迎える時期。暑さと上手に付き合いながら、夏ならではの楽しみを存分に味わいましょう。
今月の行事
祇園祭
京都を代表する夏の風物詩として知られる日本三大祭の一つ祇園祭は、千年以上の歴史を持ち、7月1日(吉符入)から31日(疫神社夏越祭)まで、1か月にわたって多彩な祭事が行われる八坂神社の祭礼です。特に14日から17日にかけては多くの観光客で賑わいます。
祭りの中心となるのは、豪華絢爛な山鉾(やまほこ)巡行です。山鉾とは、祭礼用の山車のことで「動く美術館」とも言われ、それぞれが独特の装飾や主題を持っています。7月17日の前祭と24日の後祭に行われる巡行では、約30基の山鉾が京都の街を練り歩きます。
特に注目すべきは、祭りの前夜に行われる宵山(よいやま)です。14日から16日の間、山鉾町では提灯が灯され、華やかに装飾された山鉾を間近で見ることができます。この期間中、多くの人々が浴衣姿で街を歩き、祭りの雰囲気を楽しみます。
また、祇園祭では「くじ取り式」という伝統的な儀式も行われます。これは山鉾の巡行順を決める儀式で、毎年異なる順番で巡行が行われるため、見る人に新鮮な驚きを与えます。
祭りの期間中は、屋台や露店が立ち並び、祇園囃子の音色が街中に響き渡ります。伝統的な和菓子や地元の名物料理を味わうこともでき、京都の夏の風情を存分に楽しむことができます。
そもそも祇園祭って?
今から約1150年前の869年に始まりました。きっかけは、当時の京都を襲った大規模な疫病。人々は恐怖に陥り、朝廷も対策に追われました。
そこで考え出されたのが、八坂神社(当時は祇園社)での特別な祭礼。66本もの鉾を立て、神輿を担いで町中を練り歩いたそうです。これが「御霊会(ごりょうえ)」と呼ばれる祇園祭の原型となりました。
時代とともに形を変えながら、祇園祭は単なる疫病退散の祈りから、平安や豊作を願う祭りへ。現在の山鉾巡行の姿になったのは室町時代頃。それ以来、戦乱の時代も乗り越えて、私たちの目の前で千年以上の歴史を紡いできました。その華やかさの裏にある長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?きっと、新たな発見があるはずです。
旬のもの
初夏の味覚:小ぶりな鯵で作る絶品南蛮漬け
鯵の南蛮漬けは、さっぱりとした酢の味わいが夏にぴったり。調理法も簡単で、冷やして食べられるため、暑い季節にうってつけの一品です。
鯵の旬は一般的に8月から10月頃とされていますが、7月の鯵にも魅力がたくさんあります。この時期の鯵は小ぶりで、身がしまっているのが特徴です。
小さめの鯵は、調味液がよく染み込み、小骨が柔らかいので、丸ごと食べられるのも魅力の一つです。
南蛮漬けの作り方は意外と簡単です。鯵に軽く塩をして小麦粉をまぶして揚げます。別に作っておいた南蛮酢(酢、砂糖、醤油を合わせたもの)に、揚げた鯵と薄切りにした玉ねぎを漬け込むだけ。冷蔵庫で半日ほど置けば、酢の酸味と魚の旨味が絶妙にマッチした一品の完成です。
時間が経つごとに味が染み込んでいくこと。作り置きにも向いているので、忙しい平日の夕食のおかずとしても重宝します。冷たくして食べるのも良いですし、常温に戻して食べるのもおすすめです。
栄養面でも優れており、良質なタンパク質やDHAを含み、夏バテ防止に効果的。また、ビタミンB群が豊富で疲労回復にも役立ちます。酢に含まれるクエン酸は新陳代謝を促進し、さらに疲労回復を助けてくれます。手軽に作れて栄養満点、しかも美味しい鯵の南蛮漬けは、夏の食卓に欠かせない料理と言えるでしょう。
おわりに
今月は二十四節気の小暑と大暑、祇園祭、そして夏の旬の味覚である鯵の南蛮漬けについてご紹介しました。日本の伝統行事や季節の移ろい、そして食文化の豊かさを感じていただけたでしょうか。
夏本番を迎え、暑さも日に日に増してまいります。くれぐれも体調管理にはお気をつけください。こまめな水分補給や、バランスの取れた食事、十分な休息を心がけ、暑い夏を元気に乗り切りましょう。
来月も、日本の四季折々の文化や風習、旬の食べ物などについて、さらに興味深い話題をお届けする予定です。どうぞお楽しみに。皆様にとって、心豊かで健やかな日々となりますように。
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