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精神科作業療法士は一体何をしている?本当に精神疾患を治せるのか?

こんにちは。
りんごです。

わたしは作業療法士です。一応国家資格。
今日はわたしのお仕事(精神科作業療法士)の話をします。

作業療法士とはどんな仕事か

『医師の指示に基づいて身体や精神に障害をかかえた人の社会復帰を行う』仕事です。
つまりケガや病気によって日常生活に支障をきたした場合に元の生活にできるだけ戻れるようにお手伝い(リハビリ)する仕事です。

人間の基本的な動作(歩く・座る・立つ・手を振るなど)のリハビリを行うのが理学療法士で、日常生活動作(食事・トイレ・お風呂・整容など)をできるようにリハビリするのが作業療法士です。

精神科作業療法士は何をするのか

高齢者や合併症をお持ちの方は体の不自由な場合もありますが、精神疾患を持つ患者さんはほとんど日常生活の動作は自立している方が多いです。

では精神科の作業療法士の場合は何をリハビリするのでしょうか?

精神疾患は心の病気でありそれゆえに対人関係・コミュニケーションの障害を多く抱えます。
そこで作業療法士は患者さんの興味のある作業活動(創作、絵画、音楽、手芸、園芸、学習、レクリエーションなど)を提供し他者と交流をもって楽しむ経験をしてもらいます。時には一人で作業に没頭し外部からの刺激を遮断して精神状態を安定させることもあります。個々の患者さんの必要な作業を適切な環境で提供し作業を通じて治療していきます。

精神科作業療法士の実際

それぞれの患者さんが抱える障害は様々であり、治療目的(ゴール)もバラバラです。本来ならば個々の患者さんに合わせたプログラムを立案し治療を進めていく必要があります。
しかし入院患者さんが150名いるとすると個別の関りをすべて持つことは現実的に不可能です。
そのため大きなグループ(大集団)にて作業活動を行っているのが現状です。だいたい20~25人ほどの患者さんを相手に作業療法士1~2人で活動を行っています。なのでなかなか細かく個人の目的に合った作業を提供することは難しいです。

しかしその中でも患者さんの様子を細かく観察し精神状態を評価します。患者さんはその日によっても精神症状に波があります。大きなスパンで良くなったり悪くなったりを繰り返す場合もあります。精神状態が悪い患者さんには刺激することのないように上手に声かけを行い作業を促し、なるべく落ち着いて安定できるよう支援します。
このようにして精神科作業療法士は毎日リハビリを行っています。

精神科作業療法士は精神疾患を治せるのか

精神疾患を治療する方法は大きく3つあります。

・精神療法(精神科医師による治療、心理士による心理療法も含む)
・薬物療法(疾患・症状に合わせた服薬治療)
・作業療法(作業活動を用いた治療)

作業療法だけで精神疾患を治すことはもちろんできません。
包括的なアプローチにより社会復帰へ導いていきます。

幻覚・妄想・不眠・不安などの症状に対しては服薬による治療が一番即効性があり効果があります。しかしその症状が治まりさえすれば良いかというとそうではありません。患者さんはストレス耐性が低く他者との関りが上手にできない方が多いです。これは薬だけでは治せるものではありません。

ここからが作業療法士の出番です!

コミュニケーションの障害は服薬だけでは治りません。人と関わって学習して徐々にうまくいくものです。
元々の性格は治すことはできませんが、疾患による自己認識のズレや他者への配慮の欠如などは作業療法を通じて他者と関わることにより学習していけます。

わたしたち精神科作業療法士は多くの患者さんと関わりながらも一人一人の状態をきちんと観察して長所を伸ばし、他者との交流を促して楽しさを感じてもらい、精神的に安定した生活が送れるように支援しています。

作業療法士の仕事は大変なことも多いですが、色々な患者さんと一緒に作業活動できて楽しいです。
患者さんの人生を隣で寄り添ってサポートする気持ちで長期にわたってご支援しています。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。
今回自分の仕事内容を記事にしたことで改めてやりがいを感じることができました。

書いて良かった~(*^^*) 


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