名もなき翼に似た青空
僕はあの空に恋をしている
飛べなくても 浮かばなくても
飛べないかもしれない
浮かばないかもしれない
分かっていても飛び浮かぼうとしているんだ
いや不可能なことはないって言いたいから
君に逢いたい
青空の先に薄っすら君が見える
何か聞こえる 決して空耳じゃない
何かが誰かを呼ぶように 優しく静謐に
それは君からの空の飛び方だった
空の飛び方は君が僕を希求する声だった
僕は少し泣いた
僕は空を飛ぶ 鳥よりも翼を広げて
何よりも早く そして美しく艶めいて
君に「ありがとう」を伝えるために
【了】