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自信を持って試合に臨める日まで 

日本最北のフェンシングクラブで、フェンシングをしているはしです。

定期練習会でのこと。
新しくクラブに入ってくれた選手達も筋トレやランニング、フットワークなどみんなと一緒に頑張っています。

基礎練習が終わり、剣を持っての実践練習は、試合形式で行います。
「試合するよー、準備しよう」と声をかけると、
毎回、「こわいからいやだ」と、座りこんでしまう選手がいるのです。
小学校の低学年。まわりはみんな自分より大きいから、こわいようで。

他の選手は、大きい選手やコーチにどんどん挑んでいきます。

毎回「怖い」と言って試合ができない選手をみて、フェンシングをしたくて始めたはずなのにと、なんだか理解できない私がいたんです。

その選手は、試合形式ではなく、コーチとマンツーマンでレッスンをしている時、突く練習はとっても元気にできる。
相手に突くとピーっと音がなる、通称ピコピコ剣(プラスチックの剣)を使った試合もとっても上手にできる。

練習の合間には、「たくさん練習して強くなるんだ」と話してくれて、
意気込みもある。
でも、本物の剣を持っての試合はできない。

今回の練習で、同じ時期にフェンシングを始めた選手が、コーチと試合をしているのを観て、「やってみる」と。
気持ちが変わらないうちにと思って、急いで準備をする。

しかし、試合開始の合図、「プレ(用意はいいですか)、アレ(始め)」と、試合を開始するがその場から一歩も動かない。

「思い切って前に出てごらん」と、声をかけるとマスクの中で、口がへの字に。
とうとう泣き出してしまった。

怖がっているのに無理にさせるわけにはいかないので、試合は中止。
「ピコピコ剣(プラスティックの剣)で、練習しよう」というと笑顔になったのでひとまずほっとした。

練習から離れてこの出来事を少し落ち着いて考えてみた。
私の中では、自らフェンシングをしたいと来てくれているので、剣を持って突いたりしたいのだとばかり思っていた。
これは私の勝手な思い込みだ。

そして、私が一番良くなかったのは、他の選手ができるところ、みんなができているところまで、すすめなくてはと思ってしまった。
「みんな」という言葉に当てはめようとしてたんだなあ。
反省です。

低学年の子が、いままでしたことがないスポーツをはじめているんだもの、時間もかかるだろう。
みんな違うものね。

本人が試合したいというまで、ピコピコ剣で腕を磨いていこう。




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