東京芸大出身 ブルーピリオドを観る②
僕、東京芸大出身です。
何やら、母校が舞台になった映画があるということで観てきたらめっちゃ良くて、自分自身が学生だった頃のこととか思い出したんで、ここに書いていきます!
映画の主人公たちと同じ高3の時に僕が描いた絵も公開!
前回の記事はこちら。
はっきり言って芸大ってめっちゃいいところです!!
あんないい環境で20代前半の数年間を過ごせたのはすごく良かったなー!
ほんと最高です。
(たぶん、他の美大だって負けないくらい素晴らしいところだと思う。)
映画の主人公たちも必死に受験してたけど、現実世界でこれから美大受験するぞ!っていう方、もし読んでくれてたら、今は大変だろうけど、その苦労は帳消しになるほど楽しい学生生活が待ってるので、安心して受験に集中してください!!
芸大に入るのは楽じゃないけど、入ったらすごくいい環境で、ワクワクドキドキする刺激にあふれている!最高!
・・・でも、大学2年の僕は、退学届に必要事項を記入していた。
学校の事務室に提出したら
「教授のハンコがいるからもらってきてね」って言われて、
そんなら、ってことで教授に
「ここにハンコ押してください」ってお願いしに行ったら
「絶対にハンコは押さんぞ」って言われて
「いいから押して!」
「いや押さん!」
結局、制度上、最大2年間までは休学ができるので、
「2年間休学して、それでも気が変わらなければ、その時にハンコ押してやる」と言われて、ブーたれながらも休学することになったんです。
なんでそんなことになったのかというと、やっぱ、これも映画の中で主人公の美術の先生がおっしゃってたことだと思う。
あの頃の僕は、絵を描きたいと思ってたし、それを最高の作品にしたいと思ってた。
大学の環境は素晴らしいんだけど、
『大学生生活をエンジョイしたい』より『もっと広い世界を見て新しい作品を作りたい!』の方が強かったんだよね。
結局、絵を描くとか、自分の好きなことをするのって、芸大なんか行かなくたってできるわけだし、
(大学に行かないほうが、むしろ余計な授業がない分、絵を描く時間は取りやすい!)
それに、いい絵を描こうと思ったら、広い視野を持った方がいいから、東京でダラダラしてるより海外にバックパッカーの旅に出かけたいし、芸大の学費は国立だから安いとはいえ、バックパッカーの旅なら世界を見て回れちゃうくらいの金額だし。
あれ?だったら東京で大学生やってるのもったいなくね?
学校やめて、その分の時間とお金で広い世界を見に行こうよ!
って思ったわけなんですよ。
好きなことに人生のウエイトをがっつり置いてたら、退学届もあっさり書けちゃう!
映画の後半で、受験するのをあっさりやめちゃった登場人物がいたんだけど、僕は、その人の気持ちすごくわかる気がするんだよね!
心が折れちゃって受験をほっぽり出したわけじゃなくて、石膏デッサンすら「こんなんやってらんない!」ってなる程、強烈に好きなことがあったんだと思う。
(原作読んでないので、違ってたらごめん。)
映画の終盤ですごくいい表情してるシーンがあって、そこにすごく感情移入したし、それって羨ましいなって思った。
実際、芸大に行って、芸大やめようとした僕が思うのは、
芸大って最高の環境だから超オススメの大学だけど、もし本気でやりたいことあるんだったら別に芸大すら行く必要ないんじゃないかっていうのも正解と言えちゃうってこと。
(もし、心の中で1%でも「芸大行きたいな」と思うなら、行っといたほうがいいぞ!!)
結局、僕は休学中に中国語の勉強をして、中国を旅して回って、昼は求人情報誌の営業マンをしながらコンビニで夜勤のバイトをしたりしてました。
クリスマスの頃に、営業マンをしてた会社の上司と話をしている時に
「学校に戻れるなら戻ったほうがいいよ」って言われて
「いやあ、啖呵切って出てきちゃったんで、今さら教授に、復学届けにハンコ押してください。なんていえないですよー」って答えたら、
って言われて、ああ、なるほどそうか。と妙に納得して、教授に手土産を持って、スーツを着て「復学したいのでハンコ押してください!」って笑顔で頭を下げて、無事に大人になることができたのでした。
熱い映画を観て、芸大目指す人がいたら背中を押したいと思うし、強烈に好きなことがあって「受験すらやってらんねぇ!」っていう人も心から応援したい!
③に続く。
以前の記事はこちら。
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