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優れたトコロを認め、讃える

【他人より優れていることは、 大きな欠点である】 (吉田兼好/徒然草)
他人より優れていることは、むしろ大きな欠点である。身分や家柄が高いとか、他人よりも才能があると思っている人は、外見では分からなくても、心の中に「自惚れ」という悪が潜んでいる。人から「バカじゃないか」と見られたり、ひどく非難されたり、災いをも呼び寄せる原因は、ひとえにこの慢心なのだ。だから、「自分は優れている」ということを忘れるように戒めたほうがよい。》
(徒然草/第百六十七段)

以外な指摘である。他人よりも優れているのは長所ではないのか。それが、なぜ欠点になるのだろうか。確かに優秀な人は仕事ができるかもしれない。しかし兼好が「心の中に自惚れという悪が潜んでいる」と断言しているように、危険な要素を持っているのだ。まず自信過剰だから、先輩のアドバイスや周囲の声を聞かなくなる。そんな人には、今以上の向上は望めない。自分の意見が通らないと怒ってしまい、かってな振る舞いが多くなる。慢心の塊だから、他人を見下し、バカにし、人間関係のトラブルも多く発生するだろう。実例を多く見てきた兼好が「自惚(うぬぼ)れは、恐ろしいぞ」と警告しているのである。              
(木村耕一『新装版 思いやりのこころ』1万年堂出版)

「うぬぼれ(自惚れ)」とは、「自分に惚れる」と書きますから、実際の能力や姿以上に自分を優れているものと勘違いして、おごり高ぶることです。これは他人との比較から生まれますから、他人を見下し、偉そうに振る舞います。視野が狭く、他人の優れたところには目が行きません。自信のなさの裏返しともいえます。

本当に優れている人ならば、他人の優れているところ、良いところを認め、讃えられるはずです。
人の優れたところに目を向け、認め、讃えられる人でありたいと思います。

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