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暴力と性にまみれて哲学を学ぶ(花村萬月)
小説紹介第六弾!
「ブルース」 花村萬月
1992年発売
本日紹介するのは芥川賞も受賞しているワン&オンリーの作家・花村萬月(はなむら・まんげつ)。
一時期は好きすぎてドハマりしていた作家さん。
萬月の特徴は、暴力描写と性描写が兎に角エグイ事。
そう言うとカストリ小説の様な印象だと思いますが、何故か最後に哲学を感じるのが他には無い作家さん何です。
私が初めて萬月作品と出会ったのが今作。
本屋で帯に北方謙三氏が(萬月よ!何故こんなに哀しい物語を書くのか!)みたいな一文があり、気になって読んだんです。
もう最初から最後まで一気読みし、読み終わっても興奮が止まらなかった記憶が蘇ります。
これは凄い作家に出会ってしまったと。
その後デビュー作から全部読み、現在も出る作品全て読んでます。
名作・衝撃作・珍作色々あるけど、やっぱ自分にとっての萬月は今作になります。
もう内容は説明しません。
そしてエロ・グロシーン沢山あるので、正直嵌る人は少ない作家さんかもしれませんが、嵌る人には論語よりも哲学書になる気がします。
それでは花村作品の個人的ベストスリーを。
第三位 選べなくて二作紹介します。「ワルツ」 2008年 萬月作品の集大成的作品。上中下巻に分かれる大長編。戦後間もない東京で、特攻崩れの死にたい男、任侠に憧れ、頭脳でのし上がろうとする朝鮮人、東京へ流れてきた天涯孤独の美女。三人が出会い動き出す壮絶な運命の物語。エロ・グロ少なめでエンタメ要素も強く、初心者にもお勧めです。
第三位「ロック・オブ・モーゼス」 2013年 今作は音楽がテーマなんで個人的に思い入れが強い作品。モーゼスと呼ばれる天才ミュージィシャンに出会った少女が才能を発揮し、遂には天才も超えていく物語。
第二位 「二進法の犬」 1998年 ヤクザの物語。そこにある思想は〇か一、白か黒。つまりPCの二進法と同じ。千ページ近い物語で、主人公の非道な行動を嫌悪するものの、何故か最後は憎めない存在に感じる。
第一位 「ブルース」 1992年 会う人会う人に当時進めていた位大好きな作品。生き方・恋愛・音楽色んな要素が詰まった哲学書。最後本当に泣きそうになります。悲しいではなく、哀しい物語。
結構ハードルの高い作家さんかもしれないけど、読む価値のある作家さんです。
残念なのは、ここ10年ちょっとパワーダウンの作品ばかりな事。
最後にもう一花咲かして欲しいです。