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官能とソウルミュージックをMIXした女傑(山田詠美編)

小説紹介第四弾!

「蝶々の纏足」 山田詠美

山田詠美という作家のデビューは衝撃的だった。

1985年にデビューしたので、私の大学進学と同じ時期。

振り返ると私が人生で一番本を読まなかった大学生の時期です。

その中でも山田詠美作品だけは出る度に新作で読んだ唯一の作家さんでした(フランス文学科なのに)。

どれも斬新で面白かったんですが、一冊を挙げろと言われる今作になります。

タイトルから秀逸で、少女が大人になって行く様をエロティツクに描いた作品。

山田さんらしい、少女のカーストと性描写が上手く混ざり合った怪作です。

その後も同じ様なテーマの作品が続くので、読むのを辞めてしまったんですが、2010年過ぎた頃~第二次山田詠美時代に突入し、再び読む様になりました。

作風が代わり復活した作家さんも中々居ないので、その辺りも規格外の作家さんですね。

それでは個人的山田詠美作品のベストスリーを。

第三位 ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー 1987年 直木賞受賞作です。当時黒人の彼氏(旦那?)がいた山田さんが、ソウルの名曲をタイトルにした短編集。ソウル好きには堪えられない一冊です。

第二位 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち 2013年 今作を読んだ事で再び山田作品を総て読む様になりました。ソウルも官能もない山田作品ですが、初期の頃の斬新さとは違う深みを感じられる傑作です。

第一位 蝶々の纏足 1987年 読んでから35年以上経ってるけど、読んだ時の衝撃は未だに残ってます。色んな規制が無くなり、ハードルも低くなった昨今、若い子が読むとどうか分からないけど、当時は完全に発禁本ギリギリの世界観でした。

ミステリー小説ではないので、読む人を選ぶかもしれないけど(最近の山田作品は万人向けです)、兎に角誰も書いた事のない文学を作りあげた作家さんだというのは間違いないですね。


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