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作者自身が貞子に呪われしまった(鈴木光司編)

小説紹介第八弾!

「リング」 鈴木光司

本日紹介するのは、もう知らない人は居ない位の作品(リング)。

発売は1991年。

実は発売された当初は全く売れなくて、このまま消えてしまう位の状況だったんです。

しかし口コミでジワジワ人気が出てあれよあれよという間に大ブレイクしたという経緯があります。

今作が凄いのは、嘘に真実味を持たせる為の細部の設定。

母親が日本で初の超能力者だった事(実際に存在した、千里眼と呼ばれた御船千鶴子がモデル)で、貞子にもその能力があり、ビデオテープに念写が出来た事。

貞子が両性具有という設定(その症状の人は何故か絶世の美人が多く、子をなせないのでその反動が自身の想いを生み出す念に代わって行った)

貞子は日本で最後の天然痘の患者にレイプされた事(なので呪いにかかった人物が天然痘の腫瘍ができ息が出来なくなり死ぬ)

レイプされた後井戸に落とされ、死ぬまで7日かかった事から、7日という制限時間設定が生まれた事

この様にフェイクを少しでもリアルにする詳細設定がされた事が今作が傑作になった要因だと思います。

映画も大ヒットし、ハリウッドでもリメイクされました。

でもここで大問題が!

小説の中では貞子は幽霊みたいな存在では一切出てこないんです(この点が素晴らしい点だった)。

しかし映像化する時は分かりやすくする為に、貞子がTV画面から這い出て来るんです。

私は観た時やっちまったな!とガッカリしたんです。

でも世間的にはこれが好意的というか、貞子というあのビジュアルが正解になってしまった。

リングという歴史的ホラーの傑作が広まったのは嬉しかったけど、小説の本当の良さは台無しになってしまった。

作者の鈴木さん自身も、この後全く良い作品が書けなくなってしまい、この10年作品も書いてないです。

鈴木さん自身が貞子の呪いにかかったみたいです。

それでは鈴木光司の個人的ベストスリーを紹介します。

第三位 楽園 1980年 ファンタジーノーベル大賞優秀賞作にしてデビュー作。ホラーではなく一万年という時を経た壮大な男女の魂の物語。元々はホラー作家では無かった証明的作品です。

第二位 仄暗い水の底から 1986年 水に関係するホラー小説集。どの作品もレベル高く、リングと同じく幽霊的存在は出てこないんだけど、背筋がゾッとするのは流石!この時期の鈴木さんは乗ってました。特に映画化もされた(浮遊する水)は素晴らしい作品だと思います。

第一位 リング 1981年 日本のホラー小説の歴史を変えた一作。先程も書きましたが、細部にこだわった事で本物の怖さを生み出しました。この後(らせん)(ループ)と三部作続きます。シリーズ進むごとにレベルは落ちるけど、この三部作は読んで損はないと思います。


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