
「東京マラソン2025」でサブエガを目指した話
今年もやってきた世界の東京マラソン
まさかの無課金での一般抽選当選が分かってから今シーズンの本命レースとしてきた。
過去2回は浮かれすぎて見事に撃沈しているので、今回は冷静なレース展開を心がけた。
目標はサブエガ(2:50切り)だが、20度超えの予報だったので現実的にはPB更新(2:53:48)は最低限したいという感じ。
とりあえず当日の動きや調子を見て、適宜対応しようと思った。
勝負シューズはAdios Pro4

前月2月は出張も重なり、仕事も忙しく、月間180キロくらいしか走れていない中練習不足感は否めなかったが、最低限のポイント練(レースで代替)は入れており、どこかしら仕上がっている感覚はあった。
2週間前の青梅マラソン30キロを始め、3週間前にはキロ3:50で10マイル走(ナガソエ練)、2月上旬に5000mのトラックレース、1月のドバイマラソン、館山マラソン(10キロ)はこなしていた。
今回の暑さにはドバイマラソンで疲労が残る中でもしっかりサブ3で走り切った経験が生きたと思う。
そのときの記事はこちらから。
何よりも12月初旬の防府読売マラソンでずっとサブエガペースで巡航し、最低限の自己ベストは確信するも、33キロで激垂れして最後には脚を攣って終了した非常に悔しい経験があった。

これを受け、年末年始に距離走をこれでもかというくらい乱発したのが結果的に効いたのではないかと思う。
具体的には、防府読売マラソンが終わった後は
12月15日にキロ4:10で30キロ(ナガソエ練)を皮切りに、22日にキロ4で30キロ(ナガソエ練)、28日山手線1周(42キロ)、31日皇居35キロ走、1月5日西東京30キロ(キロ4:05)をやった。
この走り込みの疲労がいい感じで抜けたのではないかと分析している。怪我しなくてよかった。。
今回東京マラソンを迎えるに当たり準備段階で意識したことは以下。
脚痙り対策で、前日からナトリウムを溶かした水をゆっくり飲み、バナナでミネラル補給。当日朝の爆食いではなく前日に多めに炭水化物を食べた(消化されエネルギーになるには7~8時間くらいかかるので)
前日は整体に行って、変な動きはせず22時には寝た。エキスポは金曜の夜に行くとびっくりするくらい空いているのでおすすめ。
さすがにレース2週間前くらいから食事制限して少し絞った。というよりも仕事が忙しすぎてロクに食事をとることができず結果として3キロ痩せた。これは不健康な痩せ方である。
特にエキスポで買ったPrecision Hydrationは良かった気がする。

補給ジェル(カフェイン入り)は1個800円したが、終盤35キロ地点のお守りとして購入。
エキスポは閉店間際ギリギリだったのであまり満喫できなかったのが残念だが、前日に脚を休めるためにも金夜にいけて良かった。

そしてレース当日
朝5時45分起床。熱いシャワーで目を覚ます。
おにぎり、パン、バナナなど消化に良さそうなものをゆっくり食べる。
コーヒーは絶対に毎朝飲みたい派なので、カフェイン抜きなどは到底できずいつもどおりにエスプレッソを飲む。
当日は20度まで気温が上がると言われており激萎えしていたが、朝の移動時はひんやりしていた。
期待値が低いとちょっとしたことでも嬉しい。
当日も早く着いてもやることないことは承知しているので、ギリギリまで家にいて8時前に都庁前に到着。


ギリギリまで上着を着たまま待機しつつ、荷物を預けて8時40分頃にブロックに整列にいく。
今年はBブロックなので嬉しい。アップできるスペースもある。
Bブロックの横にもトイレがあり、最後にそこに行く。これはありがたい。
Bブロックには某インフルエンサーがたくさんいて既にお祭りな雰囲気。
スタート前は天気もいい感じに曇っていて、予想の100倍はひんやりしており、テンション上がる。
これはいけるのではないか。。
そんな淡い期待を抱き始める。
9時10分。
号砲が鳴る。
スタートまでのロスは20秒ちょい。素晴らしい。
テレビで見る紙吹雪が舞い上がる。
圧巻の景色だ。これがSEKAI NO TOKYOだ。
少しでも軽くしようとスマホを持ってこなかったことを少し後悔する。
Bブロックといえども最初はなかなか上手く進めない。
結局最初の1キロは4:14くらいかかった気がする。
そしてビルに囲まれているからかいきなりGPSが狂ったので次回からは手動ラップにしたい。
今回最も意識したことは、最初の5キロを飛ばしすぎないこと。

去年はCブロックからのスタートでこの下り区間で足を使いすぎてTHE END
去年はなまじ調子が良かったのでサブエガペーサーに早く追いつこうと3:40/kmくらいで飛ばしたら後半死亡したので、今回はその反省を生かしてキロ4前後を徹底。
結果的に最初の5キロは20:16かかった。
ここで焦らないと自分に言い聞かせる。
下り区間も終わり、徐々に身体も温まってくる。
ラップも3:55/kmを切るくらいになるが3:50/kmは切らないようにゆっくりと意識する。
最初はかなり差があったサブエガペーサーとの距離も少しずつ、少しずつ縮まっていく。
10キロ39:50。いい感じである。5キロのラップは19:34
キロ4ペースから10秒の貯金ができた。
やはり東京は応援がすごい、ありがたい。
年を重ねるごとにラン友が増えるというのはありがたい限りだ。
最初の折り返し地点を通過。まだまだ余裕がある。
すれ違いでよく知っているランナーさんを見る。
そのまま一気に15キロまで。
正直このあたりは集中しておりあまり記憶がない。
14キロ地点で1つめのジェル(メダリスト)を注入。
15キロ通過は59:30。30秒の貯金ができた。
5キロのラップは19:40
その後は浅草を通り、浅草寺を通過。
個人的にはこの地点が一番好きである。スカイツリーもアサヒビールのあのモニュメントもしっかり見える。
20キロ通過、1:19:27。33秒の貯金。
5キロは19:57。
キロ4がハマってきた。
ハーフ通過は1:23:48
いい感じである。ハーフで言うとサードベストくらいかもしれない。
アドレナリンが出ているのでまだまだ大丈夫。
だいたいハーフ通過のダメージで今後の展開が予想できるが今回は冷静にレースを展開できていた。
21キロ地点で塩ジェルを投入。足攣りだけはなんとしても避けねばならない。
その後、サブエガのペーサーが目の前に見える。
23キロ過ぎについに大集団に吸収されにいく。
あまり集団走は得意ではないが、とりあえず無心でついていく。
門仲のこのあたりは例年辛かったイメージしかない。
25キロ通過。1:39:31。
貯金が29秒にまで減ったがまだ大丈夫だ。
5キロのラップは20:04。誤差であるが20分を超えてしまった。集団にいると給水のときにタイムロスをするのでそれがネックだ。
このあたりの数秒の取りこぼしが最後にもじわじわと効いてきたように思う。
このときはとりあえずこの集団に乗っていけるところまで行こうと思う。願わくば35キロまでは。
そして細かいアップダウンがある28キロ~29キロのきついエリアを過ぎる。
このあたりから応援の量に比例するようにキツさが顕在化してくる。
日差しもきつい。
自分より明らかな実力者もどんどん脱落してきており、いかに過酷な環境であったかがわかる。
28キロ地点でアミノバイタル(赤)を注入。
給水は確実に全てとりひたすら頭にかけ続ける。スポンジもありがたい。
そして一つの目安としていた30キロ。
1:59:48。貯金は12秒。まぁまぁきついが粘っている。
5キロのラップは20:16。
この時点ではペーサーにしっかりついて行っているがペーサーもキロ4は微妙に超えていたと思う。実際にキロ4で走れば2:48くらいになるのでそのはずだ。
自分の中では30~35キロをひとつの鍵となる区間としており、いつもここで一気に落ちるので意識して走った。
銀座を過ぎ、一番きつい有楽町~日比谷~田町のエリア。
このあたりはビルの日陰もなく本当にきつい。足の指の感覚もなかなってきており、なかなか踏ん張ることができない。
スライドで速いランナーがどんどん大手町のゴールに向かって気力を振り絞っている。
そして35キロ地点通過。2:20:22。
5キロのラップ、20:35。
ついにキロ4ペースは超え、22秒の借金となったが全然垂れておらず粘れている。
ここに一抹の成長を感じた。
35キロ地点で待ってましたとばかりに高級Precisionジェルを投入。
PBを出した去年の別大では激垂れしていた35キロ地点でモルテンのカフェイン入りジェルを投入して謎の復活を遂げた経験があるので、今回もそれに賭ける。
プラシーボ効果である。
このあたりで某金髪系Youtuber兼インフルエンサーと同じペースでの併走となり、沿道からものすごい声援が聞こえてくる。
インフルエンサーは大変だと思いながら、その声援を自分のものとして受け取り、少しでも力に変える。
この区間が本当にしんどい。いつもなら残り7キロとかなんともないがこれが永遠に感じられる。
呼吸はいけるが足が踏ん張れずになかなか前に進まない。
必死に腕を振るも4:10くらいの出力しかでない。こんな状況でも足を動かせば進んでくれるAdios Pro4はさすがの名作だ。
田町エリアに入り、残り5キロの表示。
反対側車線には残り4キロの表示が見える。早くあちら側にいきたい。
死にものぐるいで最後の折り返しを曲がり(このときに攣らないように最大限の注意を払う)、大手町に戻る。
芝公園の前でもたくさんの声援をいただく。
残り3キロ。
ちょうどガーミンが2:38:00を指している。
キロ4で3キロいけばサブエガできる計算だ。
そして40キロ地点。2:41:22。
5キロのラップは21:00。大崩れせずに粘っているのは自分が1番分かっているがまあキツい。
この数秒、数十秒の遅れがじわじわとここに来てかなりの圧となって襲いかかる。
でもいける、いけるぞ。そう言い聞かせるしかない。
残りの2.195キロを8分38秒でいけばよいのだ。しかしキロ4では間に合わない。
このときほど195mが邪魔だと思ったことはない。
最後の力を振り絞る。これ以上無いほどに腕を振る。
しかしどう頑張ってもキロ4を切れない。。足が終わっている。
そんな中でも最後まで諦めずに足を動かす。
沿道の声援もこのあたりは全く反応できず。
ここで一番やってはいけないことは無茶なフォームで走って足を攣ることである。そうすると完全に停止してしまう。
これだけを気をつけながら最後の石畳を走る。
あと少し。
42キロ地点。あと195メートル!!
ここで無情にもガーミンの表示が2:50:00を打つ。
時計を見ている暇があれば足を動かせと言い聞かせ最後の力を振り絞る。
どんどん近づくゴール地点のゲート。
グロスタイムがもうすぐ2:51となりそうなのが見える。
なんとか50分台!!と思いダッシュ。
間に合った。
グロスで2:50:59だ。
ネットでは2:50:36
結局最後の2.195キロは9:14かかってしまった。
しかしこれが今の実力である。
レース後は不思議な満足感と達成感に包まれていた。

サブエガができなかった悔しさよりも、この気温で最後まで大きく垂れることなく納得のいくレース展開ができたことが素直に嬉しい。
絞りきれなかった36秒は次回にお預けということで。
実際に総合順位も1200位くらいから始まり、各5キロ地点での順位も1度も下がることなくどんどん上がっていた。
最後は887位。
3万7千人規模の大会でこれは普通に嬉しい。
他のレースだったらサブエガ余裕だったとかたらればをいくら言っても仕方ない。
これ以上は今日の自分には無理であったということである。
やりきった。
それくらい爽快な気分であった。
これが人生23本目のフルマラソンであった。

次戦は3月末のふくい桜マラソン。これで今シーズン終了だ。
どのような感じでいくかは当日の気温などを見てから決めることとしたい。
今回の東京マラソン、あえて反省点を残すとすれば以下。
やはりキロ4で巡航できたとしても実際は42.195よりも長いし、最後はどうしても落ちるのでこのレース運びは綱渡り。理想はレースペースを3:50で押していって、あわよくば2:45、最後落ちても粘ってサブエガというパターン。そうなると巡航ペースのベースを上げる必要がある。
ジェルはなんやかんやでケチってはいけない。多少高くても勝負レースでは慣れていない初物よりも、モルテンを投入した方がよいかもしれない。あと塩ジェルは今回のような暑い日には良かった。