読んだ気になる1000字日記『センスは知識からはじまる』

センスとは勤勉と引き換えに手に入るものだと思っていた。中高時代、真面目で勉強ができる人より趣味や遊びに没頭している人の方がお洒落でキラキラして見えた。でも本当の意味で頭が良い人はその垣根を持たないということにうっすらと気づいたのは、大学を卒業する頃だった。

前述の通り、『センスは知識からはじまる』ことには心当たりがあった。
しかし、それを言葉で説明することができなかった。

この本は、遊びや感覚、才能などの曖昧で魅力的な表現でごまかされていた「センス」という言葉を迷い無く解説している。それだけではない。センスの磨き方、仕事での活用法まで書かれている。想像以上の買い物ができて、わたしはかなり満足している。


センスとは何か

センスとは、あっと驚くひらめきがたくさん降ってくる能力のことではない。センスとは、数値で測れない事象を最適化し、判断する能力のことである。数値で測れない事象とは、「何となく良い」「ついつい選んでしまう」といったような感覚に訴える要素のことで、それを知識による裏付けを持って選択できる能力がセンスの正体であるようだ。

センスが良いとはどういうことか

わたしたちは見たことがあるようでない程度の驚きにセンスの良さを感じているらしい。溢れるように生み出される昨今のヒット商品も、読み解くとあっ!と驚かないけど新しいものであることに気づかされる。逆に、想定外の驚きは不安や恐怖を与えかねない。突飛なアイデアが受け入れられないわけではないが、iPhoneが日本でブレイクするのに3.4年かかったように、成功するには膨大な時間と忍耐が必要である。このあたりは組織の努力次第といったところのようだ。

センスを磨くにはどうしたら良いか

センスの磨き方には3つのステップがある。
・王道を紐解く
・流行を知る
・共通項やルールを見つける
過去から現在にかけて長らく目にしているものを知る。そして現在、特に人気を集めるものを知る。それらの共通項から、新しいアイデアのヒントを見つける。これを水野氏は過去の知識の集積による未来予測という称している。未来予測と呼ぶにはあまりにも堅実で簡単すぎるのでは?と感じるかもしれないが、世の中のヒット商品が広い視野と知識で生み出されていることを知れば、センスの良いものがひらめきではなく歴史と地続きで生まれている事実にも納得が生まれるだろう。



冒頭で、遊びと勉強の垣根が無く、頭が良い人がいると書いたが、そういう人はあらゆる場面で丁度良い選択や振る舞いができると感じている。わたしはその人たちのことを、生きるのが上手いという意味を込めて「人生2周目の人」と呼んでいる。本当はセンスが良いって言いたかったのだと今なら分かる。
水野氏曰く、日常や好みといった自分の持つ「普通」と適切に距離を取る、もしくは距離を調節してみることでもセンスを磨くことができるらしい。
2周分生きるために、他人の「普通」に合わせて生活してみたりするのも良いかもしれない。

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