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小須戸ARTプロジェクト2023 参加アーティストの活動紹介

小須戸ARTプロジェクトは、全国公募で選ばれたアーティストが地域に滞在し、地域資源の調査やそれをもとにした創作活動に取り組むAIR(Artist In Residence:アーティスト・イン・レジデンス)事業です。

2023年は3名のアーティストが参加し、うち2名が地域での成果発表に取り組みます。作品の鑑賞やアーティストとの交流を通して、アーティストの目に映った地域を感じ、楽しんでみませんか?

​主催:小須戸ARTプロジェクト実行委員会
助成:公益財団法人内田エネルギー科学振興財団

成果発表の会期が始まる直前ですが、プロジェクト参加アーティストの皆さんの活動を紹介します!

各アーティストの活動に興味をお持ちの方は、会期中にぜひ地域を訪れてみてください!



大川 友希さん(彫刻家、2023年リサーチ参加)

古着や着物などの布を素材として様々な芸術祭などで作品制作を行ってきた大川さんは、今回のプロジェクトでは小須戸縞を中心とした地域の歴史についてリサーチを行いました。

小須戸地区図書室で郷土資料を閲覧

滞在初日は町を歩きながら、地域の歴史の紹介を受けたり、図書室で郷土資料の確認などを進めました。

午後には新潟市歴史博物館みなとぴあを訪問し、収蔵されている小須戸縞関係資料を閲覧しました。実物の力織機やシャトルなどの道具類、染色見本、帳面類を拝見し、歴史を伝える資料類に興味津々の様子でした。

新潟市歴史博物館で、小須戸縞を織っていた力織機を見学

翌日は、小須戸縞の生産を続けている秋葉区矢代田の福祉事業所、ほほえみほのかさんを訪問しました。

商業生産は途絶えた小須戸縞ですが、こちらの事業所では手織りの織り機を導入し、職人さんの指導を受けて3パターンの縞の生産方法が伝承されています。

今回の訪問では、手織りでの縞の生産の様子や織り上がった生地、生地を使った製品などを拝見させていただきました。

手織りの機織り機で小須戸縞が織られている様子

滞在3日目は、かつて小須戸縞を織っていた職人さんのお宅を訪問し、貴重な縞帳や古い生地を拝見させていただきました。

その際に、小須戸縞だけでなく、ご家族の歴史も交えた地域の機業に関わる様々なエピソードなど、貴重なお話を伺うことができました。

小須戸縞の縞帳(縞柄の見本帳)

滞在最終日には、機業に続く地域の繊維業の現状を知るため、ニット業のリサーチも行いました。

小須戸縞の生産が衰退した戦後、地域では機業からニットへの転業が進み、一時は20軒のニット工場が集積し、800人を超える方が従事していたそうです。しかし、現在稼働している工場は2軒ほど。今回訪問した株式会社YOSHIHIDEさんは転業ではなくニット業での創業ですが、現在も独自の技術で機能性と個性を兼ね備えた製品を作り続けています。

急なお願いにもかかわらず、吉川社長のお話を伺うことができ、工場での生産の現場を見学させていただくことができました。

ニット工場を見学させていただきました!

小須戸の機業に関する記録は明確にまとめられてはおらず、町の人々の記憶からも、町から工場跡等の痕跡も失われつつある状況の中で、短期間で試行錯誤のリサーチが続きました。

今回のリサーチの成果がどのようなレポートに仕上がり、その先の成果発表に繋がるのか、楽しみですね。大川さんのリサーチレポートは、今後小須戸ARTプロジェクトのwebサイトに掲載します。


髙橋 キャスさん(イラストレーター、2023年成果発表参加)

髙橋さんは小須戸地域周辺の植生、動植物、伝説などを調べ、それらのイメージを組み合わせたイラストを描く予定です。イラストと言ってもサイズは140cm×140cmのサイズで、大きな作品になります。

https://www.instagram.com/casstakahashi/

鵜出古木地区の園芸農家さんを訪ねてお話を伺う

8月末の小須戸入り後も酷暑が続き、屋外でのフィールドワークが難しい状況でしたが、朝晩の信濃川沿いの散策や秋葉区内の県立植物園の訪問、花卉栽培が盛んな鵜出古木地区の園芸農家さんを訪れるなどして、作品のイメージを固めていきました。

また、行く先々で気になる植物を観察したり、可能なものは制作スペースである町屋ラボに持ち帰ったりして、展示空間の構成に使用できないか検討されているようです。

町屋ラボ周辺などで採取した様々な植物の欠片

髙橋さんの作品は水彩で着色します。普段の制作から、その土地の水を使って水彩画を描くことにされているということで、信濃川で採水された水道水や、秋葉区金津の白玉の滝の水を採水し、制作の準備を進めていました。

ちなみに、小須戸の水道水は現在は阿賀野川で採水された水が通っています。今回は江南区の浄水場に出向き、信濃川で採水された水道水を入手されたそうです。

信濃川の水(浄水済み)や、白玉の滝の水を採取し、作品に使用します
描き始める前の真っ白な水彩紙を前に、何を描こうかと考える髙橋さん

制作する大きな作品とは別に、髙橋さんは滞在中に絵日記を描かれています。その日訪れた場所、出会った人、起こった出来事などをイラスト化し、英語で描かれた絵日記です。この絵日記を眺めるのも楽しいです。展示の際にはぜひ絵日記もご覧ください。

町屋ラボに置かれた貯金箱も絵日記に登場しました

髙橋さんが住む場所は群馬県の自然豊かな山間の地域。小須戸は平野部の川沿いで、比較的町場です。髙橋さんは小須戸に滞在する中で、今まで使ってみたいと思ったことがなかった色を使いたいと思うようになったと言います。

それがどんな色なのか、作品を見ながら、髙橋さんとお話しながら考えてみるのも良いかもですね。高橋さんは、会期中も町屋ラボに滞在しながら、公開制作をしています。ぜひお立ち寄りください。

髙橋さんの絵日記は、子どもたちにも大人気!

<髙橋 キャスさんの作品展示>
日時:会期中随時 10:00~16:00頃
会場:町屋ラボ(新潟市秋葉区小須戸3668)


三本木 歓さん(現代美術作家、2022年リサーチ参加、2023年成果発表)

昨年度リサーチ枠で参加し、小須戸の三・八の市の他にも周辺の六斎市を調査した三本木歓さん。今年度のプロジェクトでは、その成果発表を予定しています。

三・八の市を題材とした作品の制作や展示の実現に向け、小須戸入り前に小須戸市の管理組合の方とオンラインで打ち合わせなどを行い、事前準備を進めていました。

市の管理組合の方とオンラインでの打ち合わせ

三本木さんは9月27日に小須戸に到着。翌日28日は市の開催日。さっそく朝から市場に向かいます。成果発表に向けて、市の管理組合の方々のご協力をいただき、下記日程で1日限定の出店をすることになりました!

当日の天候にもよりますが、伝統的な竹組みでの仮設テントの設営に挑戦し、テント幕自体にも作品となるような仕掛けを施す予定です。また、商品の販売ではなく、市に来た方々が市で購入した商品やお持ちのモノと、三本木さんが当日用意するモノ(まだ秘密)とを物々交換するお店になります。

今回1日だけの出店になります。平日の朝になりますが、この機会にぜひ小須戸露店市にお立ち寄りください!


<小須戸ARTプロジェクト2023 三本木歓さんの露店市出店>
日時 10月3日(火) 8時頃から10時30分頃まで(予定)
会場 小須戸露店市場(新潟市秋葉区小須戸3526番地4/小須戸児童遊園)内容 市を訪れた方との物々交換を予定


市の出店に向けて道具を貸していただけることになりました!

市の出店や展示に向けて、制作も急ピッチで進行中。現在は仮設テントの幕を加工しています。どのような形、意図で加工されているかは、展示にも関わってきますので、ぜひお楽しみに!

仮設テント用の幕を加工する三本木さん

制作を始める前には、近くの株式会社田中雨具さんを訪問しました。

昨年のリサーチの際、市に出店していた方にお話を伺ったところ、テントの幕を田中雨具さんに発注したということだったので、テント幕の端材などが無いかとお尋ねしたのでした。

田中雨具さんによれば、テント幕の制作は外注で端材は自社にはないそうでしたが、制作についてご相談したところ、在庫品の不要な素材を譲っていただくことができました。ありがとうございました!

田中雨具さんから不要な素材を譲っていただきました!

三本木さんの作品展示は、市が開催される広場の近くに建つ古い木造倉庫で行う予定です。地域に長く住んでいる方でも、なかなか入る機会のない建物ではないでしょうか。作品公開の際はぜひお立ち寄りください。

会場となる木造倉庫、作品が無くてもおもしろい空間です

<三本木歓さんの作品展示>
日時:会期中の土・日・祝日 10:00~15:00
会場:旧木山屋倉庫(新潟市秋葉区小須戸3534-2)


プロジェクトの詳細はwebサイトをご確認ください!


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