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保育園看護師のお仕事紹介シリーズ ⑩‐1「怪我の対応【概要編】」

こんにちは!現役保育園看護師のチロです。

保育園看護師の仕事の楽しさや専門性を発信していく『保育園看護師のお仕事紹介シリーズ』!

第10弾は、「怪我の対応」について解説していきます。書き進めていくうちに、怪我の対応に関する保育園看護師としての役割や個人的な考えが多岐にわたることに気が付きました。

そこで、第10弾は数回に分けて記事にしていきます!

今回は【概要編】として、保育園における「怪我」の現状保育園看護師としての基本的な対応について解説しつつ、次回以降に詳しく解説する「応急処置」「保育園看護師の役割と工夫」「通院の判断」「保護者対応」「事故防止/ヒヤリハット」などについても少しだけ触れていきます。

これまでのお仕事紹介シリーズも、ぜひご参考ください!


保育園における「怪我」の現状

保育園において、園児の「怪我」は日常茶飯事です。園の規模(園児の人数)等にもよりますが、1回も怪我が発生しないという日はほとんどないような気がします。

乳幼児期(0~6歳)は、人生の中で最も成長発達が著しい時期です。身体の動かし方を体得し、他者とのやり取りを学んでいくことが大切な時期です。その過程において「怪我」は切っても切り離せないものだと言えます。

上記のような乳幼児期の特性を十分に理解した上で、保育園では「怪我」は必ず起こるものとして、いかに安全な環境設定をしていくか、どんな怪我が予測されるのかなど、保育士らは常に考えているのです。

「怪我」には軽微なものから重篤なものまで幅広くあります。特に重篤なもの(死亡事故、治療に要する期間が 30 日以上の負傷や疾病を 伴う重篤な事故等)は「事故」として報告することが義務付けられています

「令和5年教育・保育施設等における事故報告集計」(子ども家庭庁)を見てみると、重篤な事故だけでも2,771件報告されており、うち4件は死亡事故となっています。事故報告件数は年々増加傾向にあります。

通院しても30日未満で治癒している怪我や、通院に至らないような日常の軽微な怪我に関しては、さらに多くの件数になることは想像に難くありませんよね。

このお仕事紹介シリーズでは、主に「日常の軽微な怪我の対応」についてを解説していきますが、スイスチーズモデルハインリッヒの法則のように、軽微な怪我の積み重ねによって重篤な事故に至る可能性があることは、常に念頭に置いておく必要があります。

「怪我」に対する保育園看護師の基本対応

保育園での怪我の対応は、保育園看護師としての専門性をいかんなく発揮すべきだと思っています。

学校における保健室的なイメージで、看護師が怪我の処置をすることは想像しやすいと思います。一昔前まではなんでもかんでも傷は消毒をしていましたが、今は消毒薬はほとんど使いません流水で流して清潔にし、必要があれば絆創膏で保護するくらいです。

日常的な怪我の対応(応急処置)に関しては次回詳しく解説していきますが、傷に合わせて適切な処置をすることだけが保育園看護師の専門性ではありません。個人的には、以下すべての項目において、保育園看護師としての専門性を発揮していけると考えています。

  • 応急処置(適切な傷の処置)

  • 事実確認と検証等

  • 通院すべき状態かどうかの判断(※あくまで医療従事者としての意見!園としての判断は主任や園長が行う。)

  • 保護者への怪我の状態等の説明や支援的関わり

  • 職員講習

  • 報告書等の作成/記録

  • 自己研鑽(外部研修等) 他

特に大切だと思っていることは、傷(怪我)を処置するだけではなく、一保育従事者としてどのように園児と関わるかという点です。

また、傷があってもなくても、職員や園児が看護師を頼ってくれるようになることは、保育園看護師としてとても大切なことです。

これらについては、次回の記事で詳しく解説します!

「怪我」をさせない保育は、よい保育か?

「怪我」について考えると、保育園ならびに保育士からすると保護者からクレームを受けたり頻発する怪我に悩まされたりとネガティブに感じることが多いような気がします。

また、怪我をさせないことが目的になってしまい、本来の保育を展開できていないような場面もしばしばあるかと思います。

もちろん不要な怪我や事故もたくさんありますが、乳幼児期は正しい転び方を体得していく時期であり、失敗を繰り返しながら他者とのかかわり方を学ぶ時期です。

怪我というものをどのように捉えているか、どう対処すべきかについて、保育士だけではなく保育園看護師も考えていくべきですし、保護者にも共通認識を持ってもらうことはリスクマネジメント的にも必要不可欠な時代なのかもしれません。

そのためにも、保護者支援、重大事故にならないための事故防止対策ヒヤリハットの活用など、「怪我の対応」については様々な観点から考えていくべき内容なのです。

まとめと次回予告

今回は概要編ということで、保育園における怪我の対応についてざっくりと現状等を解説してみました。

次回は、自分が保育園看護師として意識して対応していること、工夫していることなどを中心にお伝えしていきたいと思います。

是非チェックしてみて下さいね!



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