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七人ミサキの島
はじめに
七人ミサキの伝承がある島の海岸にある日水死体が浮かび上がった、僧侶姿のその遺体を視た高齢の島民たちは、祟りが起きると騒ぎ始めたが、その水死体には別の妖怪の変化したものだった。
起き上がる水死体は島民を襲い始めたが、そこへ七人ミサキの祟りが起こる。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島、八咫島(やたしま)には、古くから「七人ミサキ」の伝承が伝わっていた。
七人ミサキとは、かつて戦で非業の死を遂げた七人の武士たちの霊が、次々と島民を襲い、その数を増やしていく恐ろしい妖怪だという。
島の老人たちは、その話を子供たちに語り継ぎ、決して夜の海岸には近づくなと教えていた。
ある夏の夕暮れ、島の西側にある人里離れた海岸で、漁師の吉次が異様な光景を目にした。
波打ち際に僧侶の姿をした水死体が、潮に揺られて浮かび上がってきたのだ。
その姿はあまりにも不気味で、吉次は急いで村へ戻り、村長や年老いた島民たちにそのことを伝えた。
「七人ミサキの祟りが始まるんじゃ!」と、老人たちは青ざめた顔で騒ぎ立てた。
誰もが恐怖に包まれる中、島の若者たちは不安げに海岸へと足を運び、その水死体を確認した。
だが、それがただの死体ではないことに気づくのに、そう時間はかからなかった。
突然、水死体が起き上がり、異様に青白い顔を向けて笑みを浮かべた。
そして、その瞬間、死体は不気味な妖怪の姿に変わり、長い腕を伸ばして若者たちに襲いかかった。
島民たちは悲鳴を上げて逃げ惑ったが、妖怪の力は圧倒的で、次々と島民がその手にかかっていった。
「七人ミサキじゃない!こいつは別の妖怪じゃ!」と、老人の一人が叫んだ。誰もがそう信じていた七人ミサキの祟りではなかったのだ。
だが、その妖怪がなぜこの島に現れたのか、誰も理解できなかった
。
夜が深まるにつれて、妖怪の襲撃は激しさを増していった。
村は壊滅状態に陥り、島民たちは祈り続けるしかなかった。
しかし、祈りは届かなかったかのように思われたその時、突然、空気が一変した。
海から、七つの人影が浮かび上がってきた。
それは七人ミサキだった。彼らの姿は、冷たく暗い怒りに満ちていた。
妖怪もそれに気づき、僧侶の姿から再び不気味な姿に変わり、
七人ミサキに向かって立ち向かった。
しかし、七人ミサキの力は圧倒的だった。
七人ミサキは一体ずつ妖怪に襲いかかり、その身体を引き裂いていった。
悲鳴が夜の空に響き渡り、やがて妖怪は一つの塵となって消え去った。
村は静寂に包まれ、七人ミサキは再び海の中へと姿を消した。
残された島民たちは、彼らが一度は恐れていた七人ミサキに命を救われたことを理解した。
だが同時に、彼らがまたいつか戻ってくるかもしれないという恐怖を抱えながら生きることを余儀なくされた。
島の伝承は新たな形で語り継がれることとなった。
七人ミサキは島を守る存在であると。
そして、何者もその祟りから逃れることはできないと。
島民たちはその教えを胸に、再び平穏な生活を取り戻したが、海に浮かぶ七つの影を見たという噂が絶えないままであった。
後で分かる事だが、七人ミサキは、自分の仲間を求めて上陸する、もとより死んでいる水死体または、妖怪を仲間に加えることは出来ず、逃げ遅れた弥助という漁師の姿が見えなくなっていた。
最後の最後に、仲間を迎えた事で海に七人ミサキは戻ったのだ。
やはり、祟りは祟り、犠牲者無しでは終われないというのが、事実である。
**終わり**