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「目隠し鬼の凛憧」
伯耆の国の山奥に、生まれた鬼子といわれた男の話だ。
とある伯耆の国の山奥の村で、大きな赤子が生まれたが
人相が悪く、実の血を分けた両親ですらも
頭を悩ますほどのものである。
「全く、なんつう目つきの悪さだべ」。
上から、下からどこから見ても、睨みつけたように見える。
しかし、本人は怒っている訳でもなく、機嫌が悪い訳でもない
細い目に、黒目が小さく、鋭い印象が
まさしく、凶眼、邪眼の相、四白眼と呼ばれる不吉の証。
それ故、目はちゃんと見えるのに、黒い布をぐるりと巻いて
目の病気でこうしていると言い訳している。
生地の薄い布で薄っすら透けているので、見えにくいが生活に困ることもなく、この布巻が無いほうが問題である。
しかし、変わっているのは。目だけでは無かった。
声だ。
それは低く、唸るようで、大きい声を出すと
地鳴りのようになる。
時にそれは地獄の亡者の叫びのようと、周りのものは震え上がった。
しかし、その噂を聞きつけた、ある寺の住職が、寺で引き取りましょうと言ってきた。
両親はこれ幸いと、預けてしまった。
しかし、この寺に来たことが、彼の運命を変えたのだ。
彼が、あの地鳴りのような声でお経を唱えると、一人で唱えているはずなのに。
だんだんお経の声の数が増えていく、二人、三人まるで最後には何十人が一斉に唱えたように聞こえる。
しかし、聞いていると怖いどころが、勇気や、元気が湧いてくる。
雨ですら晴れ間に変わるほど、清い空気があふれだすではないか。
そして、ある時、憑物に憑かれた老婆が寺に連れてこられた
凛憧のお経を聴かせると、老婆まるで生きでも吹き返したかのように
一度、気を失って倒れたが、カッと目を開けた途端顔色が変わり
柔和な笑みを浮かべて、
「でお腹が空いたなあ」と喋ったときは、拍手喝采で皆で喜んだ。
この時から、彼の事を、口で魔を払う、
口仏(くちぼとけ)の目隠し鬼と読んだそうな。
正式な名は凛憧といったが
彼は、住職の寺でいろんな変わり人と知り合うことになる。
ある時、またこの住職が、変わった男を連れて行きた
背の高い、凛憧よりも更に頭一つ高い大男。
ずんぐりとしているが不思議と鈍い印象はなく。
日焼けて、赤いのか、酒やけで赤いのか解らないが
かなり赤黒い色をしているが、一番の特徴は
その顔、でかい。
その中でも口がでかいのである。
パックリと口を開けるその通りで
自分の拳を口に入れたまま、平然と喋るのである。
大食漢だが、それ以上の問題があった。
何でも、口に入れようとするし、噛み砕けるものらば食べてしまう、木の枝、石ころ、泥団子まで。
お腹を空かすとますます手に負えない。
しかし、何でも口に入れるのは理由があるらしい。
食べたものの記憶を知る事が出来るという。
ある日、女の身ひとつでこの大男を育てていた母親が急に倒れ死んだ。
このとき、この大男は歳は6つ、大いに腹をすかし、母の手を口に入れた時だった。
家中の物、ゴザや、着物柔らかいものは取り敢えず食べてしまった。
母の手を食べようとしたわけではなかった。
指しゃぶりの感覚だったにもかかわらず
顎の力加減が出来なかった。
パク、ゴキン、ごくん「いけねぇ、何やってんだ。」
なんと、母の人差し指を食べてしまった。
その時だった、母の記憶が見える。
ただ、母が自分が外で遊んで返った時には倒れていた。
その、自分が外へ出ていたとき
母に何があったか、はっきりと見ることが出来た。
母の目には、片目の男が母に拳を振り上げている姿だ。
更に母の記憶を遡ると、その片目の男が自分の父親だと知る。
どうやら、金銭で揉めて、母を殴り殺したのだと、解ると、もうこの続きは見たくなかったが。
しばらくの間自分のいる意思に関係なく、母の記憶を見続けていた。
母の仇を取るために、色んな物を口にして、片目の男を追っていると語り。
皆から噛みつき兵馬と呼ばれている、そんな過去を持っているが、性格は明るく豪快だった。
そんな、二人は気があった、変わり者同士というわけでなく
どちらもが性根の部分は優しく、苦労をしてきたという点で意気投合したのだった。
もっぱら、喋りまくるのは噛みつき兵馬で。
その横で、うんうんと相槌している凛憧の姿を見かけるようになった頃。
寺の前で人が倒れていると小坊主が騒いでいるので、早速、二人が駆けつけると。
門の前で、年配の男が血だるまで倒れていた。
よく見ると、体のあちこちが欠けている。
獣に齧られた後だ。
この辺は、いまだに狼や野犬がいないわけで無いが、奴らがこんな麓まで来るとは思えない。
その時、兵馬がその死体の左腕を取った。
「食べるなよ。」
と凛憧が注意したが。
「俺だって、好きでやってる訳でねぇ」
そう言って、兵馬は、またしても人差し指を口に咥えた。
「何か、解ったか?」
いつもより、長く咥えているので、気になり、顔を覗き込むと。
「こりゃ、獣の仕業じゃない、化け物が
犬の頭だけの化け物がこのおっさんを襲ったようだ!」
「そんな!」
それを聞いて、集まっていた、小坊主たちが青い顔で後ろに下がった。
「住職なら、何か知ってるかも知れない。」
「住職は、用事で出かけているが、今日の、夜が暗くなる前には返ってこよう。それまで、この遺体は寺の中に、置いて供養しよう。」
そう、言って凛憧は遺体を抱え、本堂へ。
もう、あたりは夕暮れ、本堂は暗く、ろうそくの明かりが照らす中
ゴザの上に寝かされた、ご遺体を前に凛憧が、お経をあげ始めると。
何と遺体が動き始めた、まるでするめいかを燻ったように
手足がぐにゃりとあらぬ方向に曲がりはじめた。
「凛憧これは、どう言うことだ!」
兵間が問うと、遺体からうめき声が聞こえる。
そして、年配の男のが顔が変わり始めた。
「ガルルルルゥ」犬の唸り声ともに、口周りが前に出て来て
犬歯が伸びて行く、あっという間に毛むくじゃらの大きな山犬に変わり。
バキバキっっと音がしたと思えば、山犬の頭は
なんと、胴体から千切れて飛び、凛憧目掛けて飛んでいく。
すると、更に祈りをこめて凛憧がお経を唱えると
大音声となり、何百人のお経を合唱するこえになり、
あと少しで凛憧の首をかみ切る前で動きを停止した。
その瞬間、兵間が無造作に、頭だけの山犬の怪異に喰らいついた。
バリリィ、ゴキュん、バリリィと噛み砕く音が鳴り響く。
そして、頭だけの化け山犬を平らげてしまった。
兵間がいう事には、襲われた人間に化けて、油断した者を喰ってしまう。
つもりだったようだが、凛憧のお経が山犬を苦しめ、耐えられずに飛び出した。
どうやら、俺が食べずとも、お経で負けたと思っていたようだ。
帰って来た住職にこの話をすると。
「やはり、凛憧には魔を祓う力があり、兵間にも魔を退治する力があるのかもしれんのう。」
「実は、今日留守にしたのは、隣の村で、おかしな事が起きていてな、村に居る若い娘が毎日一人ずつ山に消えると言う相談があってな、お前たちの、力を貸してくれんか。」
親より、面倒を見てくれた、住職の頼み。
二人は、喜んで引き受けた。
これよりは、目隠し凛憧と噛みつき兵間のあやかし退治の放浪記がはじまろうとしていた。
おわり
あとがき
今回は100%自分で書いたものになった。
書きかけをChatGTP4にお願いして、続きを書かせようとするも
納得のいかないモノになってしまう。
ある程度、内容のイメージがあると、かなりの調整をしないと
AIでは、上手くいかない、自分のプロンプトが大雑把に過ぎるようだ。
細かい調整が出来るように明日も続けていきます。