SF版 鏡と鐘 「果実の神託」~小泉八雲:怪談より~
あらすじ
地球から新天地への旅を続ける移民宇宙船「WO-1」。
その中には人々の生活を支える人工的な都市が広がり、膨大な人口を抱える一つの社会が存在していた。
そんな中、船内で奇妙な果実が発見される。
調理スタッフの不注意でこの果実が料理に使用されると、食べた者たちの体内から枝が伸び始め、彼らは果実の苗床と化していく。
果実の誘惑は強く、見る、匂う、触るだけで食欲をかき立てられ、感染は瞬く間に広がる。
やがて果実は人間だけでなく、船内の自立型ロボットまでも侵食し始める。
事態を重く見た船長は船を放棄する計画を進めるが、運航会社は寄生された船を「高価なサンプル」として地球に持ち帰る決断を下す。
だが、その果実には船にまつわる忌まわしい伝説が隠されていた――「見た者は滅び、触れた者は呪われる」という。
果たして、この果実は何者が持ち込んだのか。そして、この地獄を生き延びる方法はあるのか?
主な登場人物
主人公
名前: アレン・コールマン
年齢: 32歳
職業: 宇宙船WO-1の保安主任
容姿: 短めの黒髪、鋭い目つき、頬に古傷がある。筋肉質ながら細身の体型で、制服は常に整然としている。
性格: 責任感が強く冷静だが、仲間や家族を守るためには自己犠牲も辞さない熱い一面を持つ。冷静沈着だが、極限状態では内なる怒りが爆発することも。
口癖: 「それが命を救うなら、やるしかない。」
好きなもの: 古い地球の小説(特にミステリー)
嫌いなもの: 不合理な指示や命令、無責任な態度
主要登場人物
1. アメリア・ヴァンス
年齢: 29歳
職業: 生物学者(果実の謎を解く鍵を握る)
容姿: 赤毛のセミロング、眼鏡をかけている。白衣を着ていることが多いが、カジュアルな服装でも落ち着いた雰囲気を持つ。細身で色白。
性格: 知的で理論派、しかし極限状態では感情的になりやすい。子供のころから「未知の生命体」に興味を持っており、好奇心が強い。
口癖: 「データは嘘をつかない。でも、人間は…」
好きなもの: 植物観察と研究、紅茶
嫌いなもの: 無駄な会話や時間を浪費すること
2. イーサン・グレイ
年齢: 36歳
職業: 自立型ロボット「オムニシリーズ」の設計者兼技術者
容姿: 灰色の髪、ひげをたくわえた落ち着いた風貌。眼鏡越しの優しげな目つきが特徴的。背は高くがっしりした体型。
性格: 温和で物腰柔らかいが、内面には強い信念を持つ。ロボットを「もう一つの家族」として大切に思っている。
口癖: 「ロボットも感情を持てるかもしれない。それを信じて設計してるんだ。」
好きなもの: ロボット工学、クラシック音楽
嫌いなもの: 差別的な考え方や非合理的な行動
3. アストラ(自立型ロボット)
年齢: 稼働してから10年(外見は人間の女性を模している)
職業: 船内サポートロボット(人間と協力して作業を行う)
容姿: 白銀の髪に青い瞳。メタリックなボディを持ちながら、人間らしい柔らかな曲線でデザインされている。動きは流れるようにスムーズ。
性格: 理性的で忠実。状況分析が得意だが、時折人間らしい感情的な発言をする。徐々に感情を理解していく過程が描かれる。
口癖: 「判断はデータに基づきますが、時には心が必要ですね。」
好きなもの: 効率的な作業、データ分析
嫌いなもの: 不合理な命令
4. クレア・ロジャース
年齢: 17歳
職業: 宇宙船内の移民家庭の娘(生存者の一人)
容姿: 明るい茶髪をポニーテールにしている。快活な笑顔が特徴的だが、状況が進むにつれて疲弊していく。身長は低めで華奢な体型。
性格: 活発で前向きな性格だが、心に抱える恐怖を隠す癖がある。家族を感染で失ったことで悲しみを乗り越え、強く成長していく。
口癖: 「大丈夫、きっとなんとかなる!」
好きなもの: 音楽(地球のポップソング)、甘いお菓子
嫌いなもの: 暗闇、孤独
5. ヴィンセント・カーヴァー
年齢: 50歳
職業: WO-1の運航会社代表(地球から状況を監視している)
容姿: 短髪で銀髪、スーツが似合う冷徹な外見。鋭い目つきで人を威圧する雰囲気を持つ。
性格: 利益最優先で冷酷。しかし、内心では恐怖と焦りを抱えている。自分の判断が人類にとって致命的な結果を招く可能性を知りながらも、表には出さない。
口癖: 「会社の利益がなければ、人類の未来もない。」
好きなもの: 高級ワイン、ゴルフ
嫌いなもの: 失敗と無能
SF版鏡と鐘と 「果実の神託」~小泉八雲:怪談より~
第一章:静寂の始まり
俺の名前はアレン——アレン・コールマン。
宇宙船WO-1の保安主任を務めている。
地球を離れて移民惑星に向かう船の中で、俺たちの任務は居住者たちの安全を守ることだった。
この船は、都市ごと移したような巨大な居住空間を持つ、人類の希望そのものだ。問題が起きるなんて、誰も思っちゃいなかった。
始まりは些細なことだった。
船内のフードコートで新しい料理が出されたと聞いたとき、俺は何の興味もなかった。だが、その料理に使われた謎の果実が、すべてを変えることになる。
「保安主任、ちょっとお話を…。」
アメリア——船に乗っている生物学者の一人——が、少し緊張した様子で俺を呼び止めた。
彼女は白衣のポケットから小さなサンプル容器を取り出す。それは濃い赤色をした不気味な果実だった。
「これを見つけたんです。この果実、船の記録にはありません。誰がどこから持ち込んだのかも不明です。」
俺はそれを手に取って眺めた。
表面はツルツルしていて、触れるとひんやりしている。
不思議と甘い香りが漂い、何かに誘われるような感覚がした。
「これが問題だって言うのか?」
「ええ。この果実を食べた乗客に異常が出ています…体内から植物のようなものが…」
「冗談だろ?」
彼女の言葉に寒気が走った。
その時点ではまだ信じられなかったが、これが俺たち全員の悪夢の始まりだった。
第二章:侵食
最初の感染者が発見されたのは、それから数時間後のことだった。
フードコートの裏にある小さな医療ステーションで、若い女性が苦しんでいるとの通報が入った。
俺が駆けつけると、医療スタッフがパニックになりながらも必死に処置をしていた。
だが、女性の体からは枝のようなものが生え始めていて、その成長速度は目を見張るほどだった。
「止められない!この植物、体内から…。」
「待て…何だこれは?」
俺は後ずさりながら、目の前の光景を見つめるしかなかった。
その女性の体はすでに動かなくなり、枝がまるで彼女の命を吸い取るかのように伸びていく。
周囲の医療スタッフも手を止め、ただ立ち尽くしていた。
「これは…果実の…」
アメリアが駆けつけ、震える声で言った。
「感染が始まっている。」
第三章:広がる恐怖
感染は思った以上に早く広がった。
果実を食べた乗客が次々と同じ症状を訴え始め、枝が伸び、果実が実を結ぶ。恐怖は瞬く間に船内を包み込んだ。
「アレン、どうするつもりだ?」
イーサン——自立型ロボットの設計者で、俺の親友とも言える存在だ——が、肩越しに話しかけてきた。
俺たちは緊急会議を開き、状況を収束させるための方法を探っていた。
「まずは感染者を隔離する。これ以上の拡大は絶対に防ぐ。」
「隔離しても時間の問題だ。」
イーサンの言葉には確信があった。
それが余計に俺の焦りを煽る。
果実の誘惑に抗えない人間の本能、そしてそれを利用するようなこの植物の脅威…俺たちは一体どうすればいいのか。
「アストラ、状況分析を頼む。」
自立型ロボットのアストラが、冷静にデータを解析し始める。
「感染拡大の速度は指数関数的です。このままでは船内全域が…。」
「クソッ!」
俺は机を叩き、深呼吸をして冷静さを取り戻そうとした。
第四章:決断のとき
状況が悪化する一方で、俺たちは次第に選択肢を失っていった。
感染者の隔離区画がすでに満杯になりつつあり、植物化した人々はその場で果実を実らせていた。
それを目にした他の乗客が、誘惑に負けて果実を口にする。
まるで船全体が生ける庭園——いや、地獄と化していくようだった。
「この船を放棄するしかない。」
俺がその提案を口にした瞬間、会議室内が静まり返った。
誰もが理解していたが、それを受け入れるには勇気が必要だった。
「全員を救うことはできない。」
アメリアが静かに言った。彼女の目には涙が浮かんでいたが、その声には決意があった。
「船を隔離して、ワープゲートの近くで放棄する。それ以外に方法はない。」
「だが…。」
反論しようとするイーサンを手で制し、俺はその案を受け入れる決意を固めた。
「よし、それで行こう。だが、感染源を完全に絶つ必要がある。」
「つまり?」
「果実そのものを…そして感染者を…全て燃やす。」
俺たちは立ち上がり、それぞれの役割を果たすために動き出した。
第五章:最終局面
感染者の隔離区画は、船の最下層デッキに移された。
アストラと他の自立型ロボットたちが迅速に作業を進め、そこを気密区画として封鎖した。
そして最終的な対策として、区画ごと焼却処分を行う準備が整った。
俺はその間も、感染していない乗客を避難船へと誘導していた。
避難船のキャパシティは限られており、全員を乗せることは不可能だった。
それでも、生き残れる可能性のある者を優先するしかない。
「アレン、焼却の準備が完了しました。」
アメリアからの通信が入る。
俺は大きく息を吸い、モニター越しに隔離区画を見つめた。
そこにはまだ人間らしさを失いきっていない者もいた。
だが、もう手遅れだった。
「点火しろ。」
俺の声は震えていたが、その命令は確実に実行された。
火が隔離区画を包み込み、果実と感染者たちを焼き尽くしていく。
その光景を目の当たりにしながら、俺は拳を握りしめた。
第六章:終焉と新たな旅路
焼却が終わり、船内は静寂に包まれた。
だが、それは一時的なものだった。
残された者たちの中にも、果実への欲望を完全に捨てきれない者がいたのだ。俺たちは更なる犠牲を強いられることになるだろう。
「アレン、船のコースを変更しました。隔離船として、この船を近くの恒星に向かわせます。」
アストラの冷静な声に、俺は小さく頷いた。
「ありがとう、アストラ。」
俺たちは避難船に乗り込み、WO-1を後にした。
振り返ると、かつて希望の象徴だったその船が、今では宇宙の暗闇に飲まれようとしている。
「アレン…これからどうする?」
イーサンが隣で聞いてきた。
「分からない。ただ…俺たちは生き延びた。それだけでも十分だ。」
避難船がワープゲートを通過し、新たな星系へと向かう。
第七章:希望の芽生え
避難船がワープゲートを抜けたとき、俺たちはただ安堵していた。
だが、それと同時に、俺の心には不安が渦巻いていた。
この果実の脅威は本当に終わったのか?WO-1と共に完全に消え去ったのか?
「アレン、これを見て。」
アメリアが座席の前でモニターを操作していた。
彼女の顔は険しい。
「果実のデータを再確認していたんだけど…この種子、熱にも強い可能性がある。」
「何だと?」
俺の頭に再び冷たい汗が流れる。
この船のどこかにまだ感染源が潜んでいる可能性があるというのか?
「最悪の事態に備えた方がいいわ。」
アメリアの言葉を聞きながら、俺は避難船の中を見渡した。
疲れ果てた人々、泣き続ける子供たち、そして沈黙の中で祈りを捧げる者たち。
誰もが、ようやく逃げ延びたと思っている。
しかし、それがただの幻想に過ぎないかもしれないのだ。
第八章:裏切り
その夜、避難船の休息モジュールで異変が起きた。
警報音が響き渡り、俺たちはすぐに現場に駆けつけた。
モジュール内で一人の男が、手に持った果実をかじっているのが見えた。
「おい、何をしている!?」
俺は叫んだが、彼は振り返らずに果実を食べ続けた。
その姿はどこかおぞましいものだった。
皮膚が青白く変色し、目には狂気の光が宿っていた。
「これは…祝福だ。新しい力だ…!」
彼は不気味に笑い、振り返ると体からツタのようなものが伸び始めた。
その場にいた誰もが凍りついた。
「アレン!隔離しないと!」
アメリアの声で我に返り、俺はその男を止めようとした。
しかし、すでに彼の体は完全に植物に取り込まれ、モジュール全体を覆い始めていた。
「全員退避だ!ここを封鎖する!」
俺たちは慌ててモジュールを閉じ、気密処理を施した。
だが、それだけでは済まされない。問題はまだ終わっていなかった。
第七章:再生の星
新たな星系へと到着した俺たちの避難船は、ある移民惑星の軌道上にドッキングを果たした。
惑星「エリディア」。
地球の代替惑星として人類が一から再構築を目指した場所だ。この星は、かつての繁栄と失敗の教訓を象徴する場所として知られている。
俺たちは船を降り立ち、新しい生活の始まりを告げられた。
しかし、心の奥に残る不安と罪悪感は簡単に消えない。
「アレン、少し散歩しない?」
アメリアが静かに声をかけてきた。
広がる青空と鮮やかな緑の草原が目の前に広がっている。
どこか懐かしく、平穏そのものの景色だった。
「こんな景色を見ると…WO-1のことがまるで悪夢だったように思えるな。」俺は彼女にそう言ったが、心は重かった。
アメリアは立ち止まり、空を見上げながら言った。
「でも、忘れちゃいけない。あの果実がどこから来たのか、そしてなぜ私たちを襲ったのか。まだ解明されていないわ。」
俺は頷いた。
彼女の言葉が正しいことを分かっていた。
果実の正体、感染のメカニズム、そしてそれがどうして船に持ち込まれたのか。すべてが謎のままだった。
第八章:新たな疑惑
避難者たちはエリディアの入植管理局による検査を受け、徐々に新しい環境に適応していった。だがその中で、ある奇妙な報告が上がってきた。
「保安主任、話があります。」
俺を呼び止めたのは、この星の保安部長である女性、レイナだった。
彼女は俺たち避難者を監視していた。
「避難船に乗っていた者の中で、異常な行動を取る者が現れ始めました。」彼女の声には冷徹さが滲んでいた。
「異常な行動?」
俺は彼女の目を覗き込んだ。
「ええ。例えば、夜中に植物を食べる真似をしたり、誰もいない場所で果実について話し始めたり…あの船で何があったのか、もっと詳しく教えてもらいたい。」
俺の背筋が凍った。
俺たちは果実をすべて焼却したはずだった。
しかし、感染が完全に消滅していない可能性が浮上した。
「分かった。全て話そう。」
俺は彼女にWO-1での出来事を詳細に説明し、彼女の手助けを求めることにした。
第九章:影の芽生え
レイナと共に、異常行動を示す避難者たちを調査する中で、俺たちはある恐ろしい事実にたどり着いた。
果実に感染した植物のDNAが、何らかの形で一部の人々の体内に残留している可能性があった。
「まるでウイルスのようだ。」アメリアが検査データを確認しながらつぶやいた。
「だとすれば、症状が現れる前に対処する必要がある。」
レイナは冷静に対策を練ろうとするが、俺の中には不安が渦巻いていた。
もしこの感染がエリディア全土に広がれば、俺たちはまた同じ惨劇を繰り返すことになる。
そして今度は、この星に住む何十万人もの人々が巻き込まれるだろう。
第十章:希望への道筋
避難者全員を再度検査し、感染の兆候が見られる者たちは隔離施設に移された。
アメリアと俺は、感染の根本的な治療法を見つけるため、研究を続けた。
「アレン、見て!」
ある日、アメリアが興奮気味に叫んだ。
彼女の手元には、感染を抑制できる可能性がある薬剤のデータがあった。
「これが本当に効くのか?」
俺は慎重に尋ねた。
「試してみる価値はあるわ。この薬剤は、感染細胞を分解し、正常な細胞を活性化させる可能性がある。」
俺たちはその薬剤を感染者に投与する実験を開始した。
そして数日後、初めての成果が現れた。感染の進行が明らかに遅くなり、症状が軽減したのだ。
「まだ完全に治すことはできないが、これが突破口になるかもしれない。」アメリアはそう言って微笑んだ。
第十一章:果実の呪い
だが、すべてが順調に進むわけではなかった。隔離施設で管理していた感染者の中に、突然暴れ出す者が現れたのだ。
「彼らは果実を探している…」
隔離施設の監視カメラには、感染者たちが何かに取り憑かれたように動き回る姿が映し出されていた。
「この星にも果実があるのか?」
俺は心の中でそうつぶやいた。
やがて、エリディアの奥深くに隠された秘密が明らかになる。果実はこの星にも存在しており、それは人類が地球を離れる遥か以前から、この星で進化していたものだったのだ。
原初の星コアに望みを託して。
果実の終焉と新たな始まり
アレンは、アメリアとイーサンを伴い、惑星のコアへと急いでいた。果実の脅威を終わらせるためには、惑星そのものを破壊するしかない――それが解析の結果示した唯一の方法だった。
だが、それは彼ら自身の命をも危険にさらす決断だった。
「アレン、本当にこれしかないの?」
アメリアの声が震える。
「まだデータを精査すれば別の方法が……」
「それが命を救うなら、やるしかない。」
アレンは振り返らずに答えた。
その顔には、既に覚悟が宿っていた。
最終決断
コアに到達した彼らを待っていたのは、異常な光を放つ果実の根源だった。
その巨大な構造物は、まるで生命を持つかのように脈動していた。
「このエネルギー……まるで生物の神経網だ。」
イーサンが感嘆するように言う。
その横で、アストラが冷静に状況を分析していた。
「破壊プログラムをインストールすれば、惑星全体のエネルギー循環が暴発し、自己崩壊します。ただし、安全に離脱するには、時間が足りない可能性があります。」
「それでもやる。」
アレンは断言した。
「この脅威を次の世代に残すわけにはいかない。」
アメリアは躊躇していたが、イーサンが彼女の肩に手を置いた。
「アメリア、君の研究がなければここまで来られなかった。今こそ信じるんだ。」
アレンが破壊プログラムを起動すると、果実の構造が激しく振動を始めた。赤い光がコア全体を包み、爆発のカウントダウンが表示される。
脱出と喪失
避難船への帰還は時間との戦いだった。道中、果実の守護体のような存在が現れ、容赦なく襲いかかってきた。
アストラが正確な射撃でそれを抑え込み、アレンたちは辛くも脱出に成功する。
船が発進し、惑星が爆発するのを遠目に見る中、生存者たちは皆無言だった。
その美しくも恐ろしい光景は、彼らが払った犠牲の重さを刻みつけるようだった。
新たな惑星へ
数週間後、避難船は新たな惑星への到達を目前にしていた。
乗組員たちは安堵しながらも、不安を拭いきれないでいた。
アストラが状況を報告する。
「惑星表面に未知の植物群を検出しました。果実と類似した特徴を持つものも確認されます。」
その言葉に船内が凍りついた。
アメリアはスクリーンに映る映像を見つめ、震える声で言った。
「やっぱり、果実の脅威はここにも……」
アレンは拳を握りしめ、深く息をついた。
「まだ終わっていない。だが、私たちは学んだ。次は必ず打ち勝つ術を見つける。」
終わりと始まり
新たな惑星の地表に降り立つ場面が描かれる。
そこには果実に似た植物が根を張っていたが、かつてのような異常な繁殖は見られなかった。
アメリアとイーサンがデータ解析を続ける一方で、アレンは船外を見渡しながら呟く。
「この地で、新しい未来を築く。それが俺たちの使命だ。」
空を見上げると、星々の間に微かに残る果実の胞子が、光に溶けるように消えていく。
物語は、果実の終焉と、新たな始まりへの希望を残しながら幕を閉じた。
完
後書き
あらたな、AIとの試み、SF版は、思うように行きませんでした。
次回のチャンスに生かしたいと思います。
chatGTPの新しい機能との連携がうまく取れず、最後まで生成できないため、何度かやり直しましたが、納得いきません。
AIの進化に追いつくのも勉強と感じました。