エビングハウスの忘却曲線は正しいのか?
エビングハウスの忘却曲線は正しいのか?
私たちは誰しも、学んだことを忘れてしまうことがあります。
そんな「忘れる」という現象に関する研究の中でも、特に有名なのがエビングハウスの忘却曲線です。
今回は、この理論がどれほど正しいのかを探っていきます。
◆ 忘却曲線の背景:100年以上前の理論に疑問を持つ
エビングハウスの忘却曲線は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが1885年に提唱した記憶に関する理論です。
この理論は、無意味な音節を覚えた後、時間の経過とともにどれだけ覚え直すのに時間を節約できるのか、という考えです。
忘却戦によると、最初の1日で覚えた情報の70%以上を忘れるとされています。
しかし、19世紀に行われた実験です。
科学技術も未発達で、現代の視点から見ればその結果に対して懐疑的になるのは当然でしょう。「本当にこの理論は正しいのか?」と疑問に思うのは自然なことです。
現代の科学水準で再現した結果は異なるかもしれません。そこで、現代の研究者たちはこの理論を再検証しました。
◆ エビングハウスの忘却曲線を再検証
アムステルダム大学の研究者たちは、エビングハウスの忘却曲線を再現するために70個の無意味な音節を被験者に覚えさせ、時間経過に伴う記憶の減少を追跡しました。
被験者は、学習後20分、1時間、9時間、1日、2日、6日、31日後に再テストを受け、どのくらいの時間で再び覚え直せるかを測定し、エビングハウスの「節約率」を算出しました。
◆ 節約率とは?
エビングハウスは「節約率」という指標を提唱しました。
これは、以前に覚えた内容を再学習する際に、どれだけ時間を節約できるかを示すものです。
例えば、最初に10分かかったものが次に5分で覚えられるなら、その節約率は50%です。
◆ 結果:エビングハウスの理論は今でも通用するのか?
結果、エビングハウスの理論はほぼそのまま再現されました。
以下は節約率の具体的な数値です。
20分後:47.1%
1時間後:37.2%
9時間後:27.6%
1日後:31.6%
2日後:23%
6日後:16.8%
31日後:4.1%
特筆すべきは、9時間後から1日後にかけて節約率が上がったことです。
これは、睡眠が記憶の定着に大きな影響を与えるためだと考えられています。睡眠は、記憶を長期的に保持するのに役立つ重要な要素なのです。
◆ どうすれば記憶を保てるのか?
この研究結果からわかるように、最初の20分で半分近くの情報が忘れ去られ、その後も徐々に記憶が薄れていきます。
しかし、完全に忘れてしまう前に復習すれば、覚え直すのにかかる時間を大幅に節約できるのです。
定期的に復習することが大事です。
◆ 最後に
エビングハウスの忘却曲線は、100年以上経った今でも有効であることが再度証明されました。
現代の研究でも、彼の提唱した理論とほぼ同じ結果が得られたのは驚くべきことです。忘れることは避けられませんが、定期的な復習によって記憶を効率的に保つことができます。
この結果は、私たちが記憶を管理するうえで非常に重要な指針を与えてくれます。新しいことを学んだら、定期的に復習し、記憶をしっかりと定着させましょう。
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参考文献
Replication and Analysis of Ebbinghaus’ Forgetting Curve
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0120644#pone-0120644-t005