養殖サケの大量死事象が深刻化 ~8億6500万匹の死~
養殖サケの大量死事象が深刻化 ~8億6500万匹の死~
みなさん、サケが大好きですか?
サケは甘みがあり、タンパク質も豊富な魚として人気の食材です。
しかし、近年、養殖されているサケに深刻な問題が起きているのをご存知でしょうか。
ビクトリア大学が2012年から2022年の養殖サケのデータを分析しました。
・養殖サケの大量死事象
2012年から2021年の間に、世界の主要な養殖サケ生産国(ノルウェー、カナダ、イギリス、チリ、オーストラリア、ニュージーランド)で、合計約8億6,500万匹ものサケが大量死している事実が判明しました。
この"大量死事象"とは、短期間で大量のサケが死んでしまう現象のことです。
調査期間中、この事象の発生頻度が年々増加していったことが分かっています。
・経済的損失は甚大
一回の大量死事象で、最大514万匹(ノルウェー)、505万匹(カナダ)、100万匹以上(イギリス)のサケが失われた可能性があります。
さらに、一年間で最大819万匹(チリ)、439万匹(ニュージーランド)、155万匹(オーストラリア)の生産量が減少したと推定されています。
2013年以降、ノルウェー、カナダ、イギリス、チリの4カ国でサケの死亡コストは150億ドル以上に上ると試算されています。
・原因は気候変動と技術の進歩?
大量死事象の原因としては、気候変動による海水温上昇や、それに伴う海中の酸素不足や藻類の増加などが考えられています。
一方で、AIを活用した効率的な養殖管理技術の影響もあるかもしれません。
生け簀の過密な環境でサケを育てるなど、生産性向上を追求しすぎた結果、サケへのストレスが高まり死亡率が上がってしまった、といった皮肻な事態が起きている可能性があります。
・さいごに
サケを取り巻く環境は年々厳しさを増しています。生産性や効率性を追求しすぎるあまり、命あるサケの健康を損なってしまっては本末転倒です。
経済的な視点だけでなく、サケの福祉にも配慮した養殖が求められます。効率性と動物愛護のバランスを見失わないことが重要なのかもしれません。