一生を決めるのは「友達グループ」!?
前回、「親の育て方の影響はかなり小さいらしい」という記事を書いた。
この本をもとにして、書いた記事だ。
例えば、IQの遺伝率は77%で、家庭環境の影響は計測できないほど小さいらしい。では、残りの23%は何かというと、いわゆる「友達グループ」だ。
ただ、これが「偏差値の高い学校に入れればいい」という簡単な話ではないようだ。
「共有環境」と「非共有環境」
前回の記事で、双生児たちを使って遺伝の研究が行われたと書いた。
共有環境とは、双生児が共有している環境、つまり家庭環境
非共有環境とは、共有していない環境、つまり家庭外の友達グループ
のことである。
子供たちは、成長の過程で親のしつけよりも友達の評価の方が大切になる。これはなぜなのか?
「友だちの世界」に生死がかかっている
本書では、授乳期を終えた幼児を世話したのは、年上の子供たちだったからではないか、と書かれている。乳幼児の死亡率がきわめて高かったため、兄弟姉妹がたくさんいるのが当たり前だったと考えられるからだ。
女の子が人形遊びをしたり、年下の子の面倒を見ることを好んだりする。また「幼児」の私の息子は少し年上の男の子に、とても関心を示す。
こうした体感からも説得力のある話だと思った。
友達グループの中での「キャラ」が自分らしさをつくる
本書では、このように書かれている。
いわれてみれば、思い当たる節があるのではないだろうか。
居心地の良いグループは、グループの中での役割(キャラ)がそれぞれ違っていて、安定している。出会った当初は「キャラ被り」しないように探り合う。
本の中では、ピアニストの子供である一卵性双生児が養子に出され、音楽が盛んな地域で育った子はピアニストにならず、音楽が盛んでない地域で育った子がピアニストになったというエピソードが書かれていた。
印象に残ったエピソード
この本にも双生児たちを使った行動遺伝学の研究について書かれており、その中に印象的だったエピソードがあった。
これを読んだ時、今まで自分は「親の育て方のせいでこうなんだ」と思っていたけれど、どちらにしろこうだったんだと腑に落ちた。うちの両親は周りの家に比べて放任主義だと感じていたが、教育熱心で干渉するタイプの両親だったら、私の場合、反発していたかもしれない。
じゃあどうすれば……
「結局遺伝だからどうしようもないと言いたいのか!」とか、「非共有環境も運次第じゃないか!」とか文句を言いたくなってしまうが、本を書いた2人の言いたいことはそうではないらしい。
「言ってはいけない」では、「親が子どもに対してしてやれることはなんだろう?」という問いに対して、心理学者ハリスの答えが書かれていた。
む、難しすぎる……!しかも、「有名校に子どもを入れたとしても、そこで子どもがどうするかに親が介入することはできず、多分に偶然に左右される」ともある。
私は「親にできることは小さくて、強いて言うなら、ネガティブな影響をなるべく減らすこと」だと解釈した。勉強が苦手な子が、得意になる方法などというものはきっとない。親にできることは、その子自身が否定されるような環境をできるだけ避けること、なのかなと思った。
もう1冊の安藤寿康さんの本は、「言ってはいけない」と違って(笑)、優しい語り口で全体的に親への励ましの言葉が書かれている。その中でも「親がもっとも努力すべきこと」という項にはこのようにあった。
うーん、こちらもあんまり救われない!(笑)
基本的には、親はある程度の環境を整えたら見守るしかない、何かを期待するのが間違いということだろう。育児は、本当に歯がゆくもどかしい!
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