【書評】改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい――世界No.1 投信評価会社のトップが教えるおすすめ上場投資信託 朝倉 智也

概要

ETFと投資信託の違いの説明から始め、どのような場合にETFが適しているのか、代表的なETFの紹介の外にそれぞれのETFの情報の調べ方なども説明されています。
後半では具体的にどのように組み合わせると、著者が勧めるポートフォリオが組めるというところまで具体的に説明されており、長期保有で手堅くリターンを得る投資をしたいという場合に適した内容だと思います。
半面、個別銘柄やアクティブファンドから良いものを選ぶことを重視したり、タイミングを見計らって大きく稼ぎたいというような場合には不向きです。

評価軸は以下の3つです。

  1. ETFの特性の説明は分かりやすく、厳密さとのバランスはとれているか?

  2. ETFの特性を活かした具体的な投資法が提示されているか?

  3. 勧められているETFは納得いくものか?

詳細

1.ETFの特性の説明は分かりやすく、厳密さとのバランスはとれているか?

初心者でも読めるように書かれている本なので、ところどころ厳密さよりわかりやすさを重視していると思う点はありますが、全体としてはわかりやすさと厳密さのバランスは良いと思います。
同じインデックスに連動するETFの違いはどういう点にあるのかなど参考になりました。

2.ETFの特性を活かした具体的な投資法が提示されているか?

具体性についてはこれ以上ないぐらい高いです。
著者が勧めるETFをどのように組み合わせればよいか手順が示されているので、好みに応じたポートフォリオを組むことができるようになるはずです。
著者の勧めるようにETFを組み合わせてポートフォリオを作らないとしてもETFと投資信託の使い分けや手数料を抑える方法も説明されており、日々の値動きに一喜一憂しない長期投資を目的としているなら役に立つと思います。

3.勧められているETFは納得いくものか?

信託報酬・純資産残高・平均出来高を基準に選ばれたもので、おすすめの7本+13本で株式・債券の他金までカバーしています。
また、高配当株を対象にしたもの、投資対象国の違いなどでいろいろな組み合わせが可能になっています。
ETFをポートフォリオに組み入れるならば見ておいて損のないリストだと思います。

総評

手数料を小さくすることにこだわって長期投資をする場合や分配金を受け取りながら投資をしたいといった場合には良い本だと思います。

ただ、私の場合は、投資信託に積立投資する方が以下の理由で今のところETFへの投資より優先度が高いと思いました。

  1. 楽で手数料の差も許容できる範囲にあること。

  2. 投資信託への積立投資ではドルコスト平均法の効果を得られること。

  3. 分配金を再投資することを前提とする場合ETFに有意性がないこと。

特に楽にできる事については、手間をかけるのは個別銘柄への投資に集中したいという私の投資方法ではETFは投資信託に劣後すると思いました。

総合すると、実際にETFに投資するかどうかはさておき、選択肢を拡げるうえで読む価値のある本です。

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