見出し画像

【書評】京大院卒経済アナリストが開発! 収入10倍アップ高速勉強法

書籍情報

署名 京大院卒経済アナリストが開発! 収入10倍アップ高速勉強法
著者 馬渕磨理子
出版社 PHP研究所
出版年 2022年

概要

勉強法の本は勉強より面白い。
教育心理学などの知見に則った学術的な本もあれば、個人的な経験則によるものまで、また学ぶ対象も学術的な研究の様に終わりのない抽象度の高いテーマに挑むもの、資格や受験のように明確にゴールを定められるもの、その中間にある仕事力を高めるというようなものまで、一言に勉強法と言ってもかなり幅広い。

そんな中で本書の立ち位置はかなり変わっている。
かなり実利を狙う勉強法だが、経済アナリストの様に今現在の経済状況を把握し少し未来を見通すために役に立つ勉強法で、経済の今を集中的に学ぶ勉強法として尖った内容だと思う。良く言えば鮮度が大事な情報を効率よく収集するための勉強法、悪く言えば抽象的な理論や原理を学ぶことを軽視した勉強法だと思う。
このような特性を踏まえて評価基準は以下の2つ

①      面白い情報源の紹介と見つけ方
②      断片的な情報のまとめ方

詳細

①面白い情報源の紹介と見つけ方

私にとって面白い情報源となったのは、「推しの専門家」「首相動静」「今日の自民党」「業界地図」など、私はこれまで理論よりのテーマに関心を持っていたので、今現在のできごとを追うという習慣があまりなく良い勉強になった。
特に「推しの専門家」という手法はとても有用だと思う。信頼できる著者を見つけてフォローするというのはかなり役に立つ勉強法として実感もある。

②断片的な情報のまとめ方

本書の勉強法は、断片的な情報を大量に収集する。であれば、断片を組み合わせて全体像を描くことができて初めて勉強として完成すると思う。本書で紹介されている手法の一部を紹介すると、新聞記事のExcelストック、図解、トレンド年表など、バラバラに収集した情報をまとめるためのノウハウとして一式がうまくまとまっている。

総評

断片的な最新情報を収集分析するための勉強法としてとても有用。
半面、最新情報をいくら集めても正しい分析視点が持てなければ、物知りにすぎない。理論だけを知っていても何の役にも立たない。両方がそろって初めて役に立つ。

適切な分析視点を持つためには基本となる理論の理解は必要。著者は「はじめに」の中で述べているように教科書からガリガリ勉強していくタイプでそれがうまく行かなかったという反省から、スタイルを変えたということの様だ。
しかし、私は多くの人は教科書をちゃんと読まないと思う。これは私の推測だが、著者は勉強するという人なら教科書は言わなくても読む。むしろ教科書を読み過ぎるという前提を置いているのではないだろうか。

最新情報を追うことと併せて、その情報から何が言えるのか?なぜそのようなことが起こっているのか?を筋良く理解するために本書で紹介されている勉強だけではなく理論を併せて学ぶことが望ましいと思う。

併せて読むと面白い本

バラバラに集めた情報を整理する手法を体系立てた本。本書で紹介されているKJ法は、知っておいて損はない。
品質管理の分野で新QCの7つ道具の親和図法として解説している本もあるので、新QCの7つ道具の解説書で学んでも良い。

図解法の1つとして、システム・シンキングはとても有用、因果関係を書き表し、どういう結果が起こるのか予測するといった用途に向いている。

本書とは反対に理論的、抽象的な内容を学ぶことに重点を置いた本。
学ぶこと自体が好きという人に向いた本だが、理論を独学で学ぶための本としてとても面白い。
とても分厚い本だが、パラパラ読んでも良い構成なので読破しようと思わずに手にとっても良いと思う。
読み方的に電子書籍より紙の本の方が良いと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?