明け方の私たち

画像1 明け方、クラブから解放された私達はいつも探し物をしていた。煙草とかライターとか音とかを。眠たいし疲れているし煙草臭いとかぶつくさ呟きながら、馬鹿みたいに次のパーティーの情報を交換していた。いつだって踊り足りなくて、音に対して信じられない位貪欲だった。
画像2 今は暖かい部屋であの頃よく聴いていた音を頼りに、いろんな人がいたし狂っていたのかも知れないとも思う。
画像3 全部終わったと諦念を抱えて生きるのもまた良かったけれど、私は音に貪欲過ぎてやっぱりパーティーを心から愛しているし、あの頃いた色んな人たちもまた踊り狂っていた。
画像4 私の代わりに死んでくれた人たちもちゃんとそこにはいて、この世界の巡りの良さに時々驚愕するんだ。だって私たちは数字を遺伝子に変換して、それを爆音に響かせながら心臓へと戻している。煙を吐き散らしながら。
画像5 今では煙草の事を紙煙草とか言って、まだ吸ってるの?とか眉を顰められる。まぁ仕方ないよね。まだあれからほんの少ししか経ってないのに、私たちのテクノロジーは遺伝子を保管したんだ。拡張した現実をどう受け止めるかなんて、昔みたいに煙草吸いながらの方が上手くいくんだ。

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