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ローマからフィレンツェへの鉄道日帰り観光は可能?実際は何日必要なのか
はじめに
ローマを訪れる方の多くはセットでフィレンツェ訪問も考えられるのではないでしょうか。
ローマからフィレンツェへは鉄道でおよそ1時間半の距離です。具体的な移動方法についてはNEWTさんの「【2024年最新】ローマからフィレンツェへの行き方3選!高速鉄道・飛行機などの最安・最速アクセス方法」という記事で解説されていますのでご参照頂きたいのですが、片道1時間半で行けるのであればなんとか日帰りでも行けるのではないかと思いも湧いてきますよね。
今回の記事ではそんなローマからフィレンツェへの日帰り旅行は実際に可能かということについて考えていきたいと思います。
ローマからフィレンツェへの鉄道日帰り観光は可能?
実際、大手旅行会社のHISさんのページでローマからフィレンツェへの日帰り旅行のモデルコースが組まれています。そちらを見ていきましょう。
ツアースケジュール
06:35頃 ローマ・テルミニ駅から各自列車にてフィレンツェへ
08:15頃 フィレンツェ・サンタマリアノヴェッラ駅着後、各自シニョーリア広場へ
08:50 シニョーリア広場ダビデ像前にて日本語ガイドと集合 ※ご参加者様が6名様以上の場合は、ツアー開始時より終了までイヤホンガイドとなります。
09:00 ウフィツィ美術館入場見学
10:40 フィレンツェ市内観光:ベッキオ橋、いのしし像、ドゥオモ(外観)、共和国広場、サンタマリアノヴェッラ薬局(入場)
12:00 サンタマリアノヴェッラ駅構内薬局前にて一旦解散。各自、昼食
13:10 サンタ・マリア・ノヴェッラ駅構内薬局前にて日本語アシスタントと再集合
13:20 バス出発場所へ徒歩で移動、出発 ※他国のお客様とご一緒となる場合がございます。
15:30 ピサ観光。ドゥオモ(入場)、洗礼堂(外観)、ピサの斜塔(入場)
17:30 ピサ出発
19:15頃 フィレンツェ帰着後、解散。列車ご乗車まで散策をお楽しみください。
20:15頃 フィレンツェ・サンタマリアノヴェッラ駅から各自にて列車でローマへ
22:00頃 ローマ・テルミニ駅着
これはすごいです・・・。フィレンツェどころかピサの斜塔まで見学するというかなり盛りだくさんのツアーとなっています。
これだけ名所観光を詰め込んでも何とか回ることはできるのですね!
ただ、よくよく見てみるとフィレンツェの観光時間は実質3時間ほどで、午後はピサの斜塔のみで終了です。
1日の日程でとにかく見どころを全部見たい方にはたしかにこれは最高に効率的な旅ではありますが、かなりギリギリのタイムスケジュールなのは正直否めません。あまりに高速移動過ぎて記憶に残るのも危ういのではないかとすら思えます。
以前当noteでは「ローマ観光は何日必要?「ローマは3日で十分」は本当なのだろうか」という記事を投稿しましたが、まさにこのフィレンツェでも「フィレンツェは日帰りで十分か」という問題が生じてきます。
たしかにフィレンツェは比較的コンパクトな街なので、頑張れば名所を一気に巡ることは可能です。
ですがさすがに1日でじっくり見るとなるとかなり厳しいです。上のスケジュールでもウフィツィ美術館が1時間半。他の箇所もいくつか回りますが、フィレンツェにはまだまだ必見スポットがあります。
例えば、美しきフィレンツェを一望できるミケランジェロ広場、メディチ家の菩提寺サン・ロレンツォ聖堂、色鮮やかな大理石の驚異の空間メディチ家礼拝堂、ミケランジェロのダビデ像で有名なアカデミア美術館、ラファエロの聖母が展示されているピッティ宮など、素晴らしい場所がまだまだあります。
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これらを日帰りで見るのはさすがに厳しいです。ピサの斜塔を諦めてフィレンツェに集中したとしてもかなり厳しいと思われます。不可能ではありませんが、駆け足どころではありません。名画や彫刻の前でゆったり浸ることはあきらめなければならないでしょう。それはもったいない・・・!ここはフィレンツェ。ゆったり芸術に浸ることこそその醍醐味です。
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そして私がフィレンツェで何より感動したのは夕暮れ時のアルノ川沿いでの散歩でした。
上の写真で紹介したミケランジェロ広場へ行く際に渡るアルノ川ですが、この両岸の遊歩道も素晴らしいです。
この写真正面には有名なヴェッキオ橋があります。
この街はどこを歩いても鳥肌が立つほど美しいです。これは想像以上でした。川のさざ波に映る夕日の光がモネの『日の出』のようです。
そして思いました。やはり私は川が好きなのだと。川がいい街は私も好きになります。私の大好きな街、プラハや京都もやはり川があってこそです。フィレンツェもその仲間入りが決定しました。
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朝、昼、夕、さらには天気によってもこの川の見せてくれる表情は異なります。
私も滞在中何度もこの川沿いを散歩して過ごしていました。
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フィレンツェ中心部はそれこそどこを歩いても驚愕してしまうほどの美しさ。何かスケールが違います。フィレンツェでの初めての街歩きはもはや鳥肌が立ちっぱなしでした。これほど鳥肌が持続したのはこれまでほとんど記憶がありません。ただただ、「うわぁ・・・」とため息が漏れっぱなしでした。
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そんな美しき街並みをスケジュール消化のために走り回るのは非常にもったいない・・・!
もちろん、一生に1回のチャンス、あるいはどうしても今回の1回で全てを見なければならないということで一気に回られるその気持ちもよくわかります。そうせざるをえないのであれば覚悟を決めて走り切るしかありません。それはそれで尊いことです。
ですがそうした切迫した事情がないのであればローマ・フィレンツェの日帰り旅行はおすすめしません。せめて1泊、できれば2泊以上しましょう。
早朝に出発して1泊して夜に帰る日程でしたらかなり余裕ができます。先程も申しましたがフィレンツェはコンパクトな街です。2日丸々あればかなりじっくり見ることができます。
一泊すれば先程も紹介した夕暮れのフィレンツェをゆっくり堪能できますし、夜のフィレンツェの街並みも楽しむことができます。
そしてさらに私がぜひおすすめしたいのがウフィツィ美術館に朝一番での入場です。
上のモデルルートでもウフィツィ美術館は午前中にスケジュールが組まれていましたが、1泊して体調も万全の状態で美術館のオープンと共に入場。これがベストです。
なぜ私が朝一番のウフィツィ美術館をおすすめするかというと、次の写真を見て頂ければ一発でわかると思います。
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私は朝一番の時間帯を予約していたのでこれほど人がいないウフィツィ美術館を楽しむことができました。ここから30分もすれば人だかりでものすごいことになります。予約は朝一番を強くおすすめします。
こうしたフィレンツェの楽しみ方ができるのも1泊することの大きなメリットです。
ちなみに、私はこのウフィツィ美術館に2日連続訪問することになりました。当初は1回の予定だったのですがこの美術館があまりに素晴らしくもう1日追加で拝観することにしたのです。
その大きなきっかけとなったのがウフィツィ美術館の顔ボッティチェリでした。
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ルネサンスといえばこの人ですよね。
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誰もが知るこれらの作品がこのウフィツィ美術館には展示されています。
ですが、私はこれらボッティチェリの代表作中の代表作ではなく、同じ部屋に展示されていた次の絵に心を奪われてしまいました。
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特に、ここに描かれたマリアです。私は彼女から目を離せなくなってしまいました・・・!
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ボッティチェリの絵は何かが違います。実はイタリアに来る前にもフランクフルトのシュテーデル美術館で私はボッティチェリの絵を観ています。
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その時も薄々感じていたのだが、ウフィツィのあの絵を観てはっきりとわかりました。そう、言うならば顔力とでも言うべきものをボッティチェリからは感じるのです。
シンプルに言うならば、顔が強いのです。他の表情を想像できない程確固たるものを彼の絵から感じます。
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私にはこれ以上のことはわかりません。ですが、私はこのマリアに強烈に惹きつけられてしまいました。魅了と言っていいです。「よし、これで最後だ」としっかり目に焼き付けてこの部屋を後にしても、結局また戻って来てこの絵に見惚れてしまう。その繰り返し。私は2日連続でウフィツィを訪ねたのですがこのやりとりを10回近く繰り返してしまいました。どれだけこの絵が好きなのだと自分でも苦笑いするしかありませんでした。
正直、私はフィレンツェに来るまでウフィツィ美術館にそこまで期待はしていませんでした。ドストエフスキーも愛したピッティ宮のラファエロ作『小椅子の聖母』にばかり目が行き、こちらにまで頭が回っていなかったのです。
しかしどうでしょう。このウフィツィ美術館は私の想像より30倍も素晴らしい所でした。やはりこの美術館が世界でトップの位置にいるのも納得です。ぜひまた訪れたい場所です。そしてまたあのマリアにぜひとも会いたいものです・・・!
ぜひ皆さんも日程の許す限り何度もウフィツィ美術館を訪ねてみてください。その価値は間違いなくあります。
ローマの記事でもお話しましたが、私の結論はやはりこうなります。
「フィレンツェへの日帰りは可能ではあるが、十分ではない」
無理せず、1泊以上されることを強くおすすめします。疲れは全てを台無しにします。せっかくのフィレンツェです。ゆっくりのんびり優雅に散歩しましょう。歩くだけで至福の時間です。
以下、ローマ・フィレンツェ旅行におすすめの記事になります。フィレンツェ旅行の参考にして頂けましたら幸いでございます。
以上、「ローマからフィレンツェへの鉄道日帰り観光は可能?実際は何日必要なのか」でした。
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