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百塔の街プラハへ~美しすぎる街並みとその歴史について


はじめに

2019年4月17日。アウシュヴィッツ近郊のポーランドの古都クラクフからバスと鉄道を乗り継いで私はチェコの首都プラハにやって来た。

今日からいよいよ本格的にプラハでの日々が始まる。

今日はプラハの街を全体的にぐるっと散策する。

天気も快晴。気温も少し汗ばむくらいの陽気だ。

観光日和であることこの上ない。

期待が膨らむ。

さあ、出発だ。

プラハの歴史について

プラハもクラクフと同じように中世の街並みがそのまま残っている街だ。

街中がそのまま博物館と言ってもいい。

石畳みを踏みしめながら趣のある街並みを散策するのは非常に気持ちがいい。

さて、一つ一つのスポットを紹介する前に、チェコとプラハの大まかな歴史と概略をここでお話しさせていただこう。

プラハを首都とするチェコは西はドイツ、南はオーストリア、東はスロバキア、北はポーランドに囲まれた国だ。

人口はおよそ1050万人、面積は北海道よりやや小さい約7万9千平方キロメートル。

規模としては小さな国かもしれないが、歴史上果たしてきた役割はとてつもなく大きい。

プラハが現在のような華やかな都市になったのは14世紀頃。

神聖ローマ帝国(現在のドイツ)の皇帝に、ボヘミア(現在のチェコ)出身のカレル4世が選出されたのがきっかけだ。

プラハにあるカール4世像 Wikipediaより

神聖ローマ帝国は当時ヨーロッパ中に広大な領土を持っていた大国だ。

当時の神聖ローマ帝国の皇帝は世襲制ではなく、選挙(と言ってもごく少数の貴族による)で決められていた。

そのため帝国内の領土だったボヘミア地方の王、カレル4世も皇帝となることができたのだ。

このカレル4世が歴史に名を残したのは、皇帝になったからだけではない。

神聖ローマ帝国の首都を、故郷たるボヘミアの中心地プラハに移し、ローマやコンスタンチノーブル(現在のイスタンブール)にも劣らぬ世界最高の都にしようと決意したことによる。

このカレル4世の大号令で現在のプラハの街並みの基礎は作られ、プラハ城やカレル橋も建造されていくことになる。

さらにカレル4世は学問や芸術にも力を入れ、中欧初となるカレル大学を設立し、多くの文化人を招き、プラハを学問と芸術の街としても発展させることになる。

それが現在でも引き継がれ、世界中の人々をとりこにしているのだ。

プラハのシンボル、カレル橋とプラハ城

また、チェコ人のプラハ城に対する思い入れは並大抵のものではない。

チェコは長い歴史上、ほとんどを大国に支配されて生きてきた。

先ほど述べた神聖ローマ帝国には属州として長きにわたって支配され、カレル4世の作り上げたプラハ全盛の時代が終わると、またも神聖ローマ帝国の支配下に落ちてしまう。

近代に入ってもドイツに支配され、ナチスに侵攻され、世界大戦が終わったかと思えば今度はソ連に支配され、抑圧される。

そんなチェコ人にとって、カレル4世によるプラハ城の建設は大国に対する勝利の象徴とも言えるものなのだ。

チェコは大国に脅かされ続けてきた国ではあるが、文化と芸術で大国に立ち向かい続けた勇敢な国だ。

だからこそプラハにはこんなにも魅力があふれている。

ただ美しいだけじゃない。

そこから香り出てくる誇り高きチェコ人の文化と歴史。

それが百塔の街にさらなる彩を加えているのだ。

世界中の人々がこの街を絶賛するのも当然だ。

プラハはあまりに美しすぎる。

さあ、街歩きを再開しよう。

ぶらりプラハ散歩~歩くだけでも楽しいプラハの美しき街並み

プラハはあてどなくぶらぶら歩くだけでも楽しい。

どこに行っても美しい町並みが続き、様々な建築様式の建物が入り混じって私の目の前に現れてくる。

とにかく飽きない。

モルダウ川西岸のプラハ城へ向かう道のり。

プラハ城は丘の上に立ってるので急な坂や階段が続くのであるが、

登り切ればプラハの街並みを一望できるスポットにたどり着く。

頑張ったご褒美のこの景色は素晴らしい満足感を与えてくれる。

ちなみに王旧前のこのフラチャニ広場はオバマ大統領の演説が行われた場所として有名だ。

プラハ城に入ると、シンボル聖ヴィート大聖堂がそびえ立つ。

中の美しさも素晴らしかった。この大聖堂については後の記事で改めてご紹介する。

プラハ城の帰りも階段を下っていく。

目の前のプラハの赤い屋根を眺めながら歩くのは最高に気持ちがいい。

さすが百塔の街。

たくさんの塔が目に入る。

そしてプラハといえばカレル橋。

多くの人でこの橋は常に賑わっている。

両端にはお土産屋さんや、即興似顔絵のパフォーマンス、音楽の演奏など様々な大道芸人の姿を見ることができる。この橋についても興味深い話があるのでまた改めて別の記事でご紹介する。

少し離れたところまで行くと、このようにプラハ城とカレル橋の両方を一望できる。

川の流れに耳を傾けながらぼんやりとこの景色を眺めて過ごす。

とても幸せな時間だ。

そこから旧市街中心部の方へ歩いて行く。

目の前に見える尖塔が2つある大きな建物はティーン教会。

この旧市街の目印になる建物だ。

左手には旧市庁舎があり、そこで有名なのが天文時計だ。

1時間おきに、時計に仕掛けられたからくり人形が動き出し、時間を伝えてくれる。

その時間になるとここは見物する人でいっぱいになる。

旧市街広場はちょうどイースターの時期でお祭りのような雰囲気だった。

屋台がたくさん出ていて、多くの人で賑わっていた。

そしてプラハ名物といえばこれ。

トゥルデルニークというものらしい。

甘いものが苦手な私だがつい美味しそうな匂いに惹かれて買ってしまった。

これはバームクーヘンのように生地を焼き、周りに砂糖とシナモンをまぶしたお菓子だ。

ほとんどの人はこれにトッピングを加えて食べていた。

アイスクリームやチョコ、生クリームや果物など、バリエーションは様々だ。

私はあえてクラシックスタイル。

何もトッピングせずに頂いてみた。

海外のお菓子は猛烈に甘いのではないかと警戒していたが、いやいや、まったく甘ったるくない。

そしてシナモンの風味が絶妙だ。

生地は外側はパリッとしていて、中はふわふわで少しもっちりした食感だ。

これはうまい。

プラハに来た際はぜひおすすめしたい。

そして再びモルダウ川沿いに散歩。これがもう気持ちよいのなんの!

旧市街からまた川の反対側へと戻る。

するとそこには川辺まで下りられる場所があった。

そこに行ってみると、なんと白鳥がそこかしこにいるではないか。

白鳥越しに見るカレル橋。

これもなんとも味わい深い。

プラハは本当にのどかな街。

もちろん、観光客はたくさんいる。

だが、不思議とうるさく感じない。

なぜなのだろう。

それに少し旧市街から離れれば静かな雰囲気が漂う。

カレル橋からの夜の眺め

そして、何より、治安がいい。

初日に同行していただいたガイドさんによると、夜遅くまで歩いていてもまず大丈夫だそうだ。

ここプラハはそれほど治安がいいようだ。

私はあまり夜は出歩かない方だが、お酒が好きな人にもプラハはものすごくいい街と言えそうだ。

チェコのビールの美味しさは世界でも有名だ。

夜遅くまで街中いたるところでレストランやバーは賑わっている。

いずれにせよ、プラハは非常に観光客に優しい街だ。

海外のどこに行こうか迷っている方がおられるなら、私は絶対プラハをお勧めするだろう。

プラハは本当に魅力的な街だった。

これから先の記事ではそんなプラハの魅力をたっぷりと紹介していく。私はもうすっかりプラハのとりこだ。2019年の旅で最も好きになった街がこのプラハだったのである。ぜひこの後の記事もお楽しみいただけたら幸いだ。

続く

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