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幽界への案内人
こちらの記事は、以下の記事のつづきです。
コルテオさんは私に、幽界への案内について教えてくれた。
事故や病気で急死した場合、自身の死を認識できず、迷子になってしまう。
「私はもしかして死んだの?」とうっすらと生前の記憶が交錯している場合は、認めないルートを選ぶとこの世に留まることになる。
後から認めても遅いからな、こっちは予約いっぱいなんじゃ!という鬼のようなシステムだった。
また、死んだことにすら気付かない者が、しばらくして死を自覚したとして。こちらもただ迷子になるだけだという。
彼らは尋ねてくる。「ごめんください、私はどこへ行けばいいのかしら……」と。あの時のお婆さんは迷子だったのか、と妙に納得した。
迷える子羊(物理)から声をかけられたら幽界へ誘導してほしいと、コルテオさんは言った。
今はマリア様の力のおかげで、ほとんど影響を受けなくなったため、それくらいなら私にも出来るかもしれないと思った。
「貴女がこれまで身を削ってやってきたことを、身を削らずにやるだけです。声を掛けられた時のみ対応すればいいので、そんなに時間は取らせません。」
明らかに危険なものは今までどおり避けること。
何かあればサポートに入る、という話だったので、それなら……と私は了承したのだった。
それからというもの、私に声を掛けてくるのは大抵の場合、先述した迷える子羊(物理)がほとんどだ。
一度だけ、得体の知れない何かがゆっくりと横切ったことがある。バリアの外から、こちらを見ていたようにも思う。思わず息をのんだ。
コルテオさんが「大丈夫」と一言だけ呟いて、私の肩をさすった。
この仕事は、危険と隣り合わせなのだ。
動じない精神を身につけようと心に強く誓った。
ところで、多くの日本人は、あの世と聞くと、もれなく三途の川を連想するのではないだろうか。
あの世に行くために順番に船に乗るとか橋を渡るなど諸説ある中、私に見えるのは、ただ眩しくて大きな光…という至ってシンプルな画だ。
この大きな光は、例えるなら「幽界への門」である。
突然声をかけられ、私は彼らと対話をする。
幽界担当者に内線をして「お疲れ様です。1名送ります。対応お願いします」と伝える。(※チャネリング)
担当者は「はーい、今開けます」と返事をし、同時に眩い光が辺りを照らし、門が現れる。
彼らは門の方へ進み、やがて光とともに消える。
それが一連の流れだった。
私の日々は相変わらずだが、傍らでほんの少し、お役に立てている。……気がしている。
正直なところ、本当に私のような人間がこんなことをしていいのだろうか、と何度も頭を悩ませた。
でも、それでも。
光へ消えていった彼らの笑顔と感謝を胸に、私は今日も歩み続ける。
ちなみに余談だが、マリア様はコルテオさんの上司にあたるらしく、コルテオさんはマリア様の前だと背筋が伸びている。
コルテオさんとの出会い編 ~完~
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雪乃🌹