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鈍った身体感覚と想像力

久しぶりに訪れた街でお目当ての酒場を探しながら少し歩を緩めたとき、ドンッと後ろから何かがぶつかった。
なんだこの野郎!と振り返ると白杖をついた女性がいた。
その人は申し訳ありませんと言い、私はハッとした後、とんでもありませんと答えた。

その日、2軒目に行った酒場でバイトの女子大生にお父さんの歳いくつなの?と聞くと、私お父さんいないんです、という答えだった。

同じ日に自分の鈍さががこうも露呈するとは。
家の外では自分の周り半径数メートルまで感覚を広げておくべきだし、私とは違う境遇の人たちがいることを意識していないといけない。
普段私が過ごしている世界がすべてではないのだ。

身体感覚や想像力が鈍っているのは、仕事をしていないからなのだろうかと思った。
そうかもしれないし、違うかもしれない。
ただ、人と接する機会が減っていることは確かなので、その影響はあるのだろう。
今はまだいい。問題はこの先だ。

後期高齢者くらいの年齢になったとき、独り身で生活していたら、誰かと会話するのは年数回くらいになるかもしれない。
今も人との会話は週イチくらいなので、確実にそうなるだろう。

そのことはしょうがない。
問題は身体感覚や想像力の減衰をどうやって遅らせていくかということで、年老いたら人嫌いになっていくだろうし、人づきあいに頼らずにどうやって心身に刺激を与えていくか難しいところだ。

やっぱり恋とかそういうことになるのだろうか。
恋も人づきあいのバリエーションではあるが。
(そもそも相手がいないけど)

具体的にどうやっていくかはこれから考えるとして、取りあえず身体が求める方向に進んで行くしかない。
どこへ向かうのか未知の世界だから、少しわくわくするのが救いと言えば救いだ。

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