詩の投稿 「新第Ⅲ期」
扉を叩く音がする
なんだろう
ここは地球領域第26惑星
ユビ・イグニス・アルデット
いつの頃からか
鳴り止むことのない
扉を叩く音がする
人間は嫌々住むことはしなかったらしい
その地に、プロリビテリウムの胴体がまるまるあった
ぼくは激しく鳴り響く鐘の音で錯乱の渦に呑み込まれていた
いつの間にかのことである
ぼくを乗せた宇宙船は
遙か火星までやって来た
そこには
あらゆる領域惑星で独自を辿った人間の種の多いことが、ついさっきまでのイロイロを彷彿させまいと尽力している
ぼくの耳は
まだ扉と鐘の音で満たされていた
展望デッキに出て煙草一本をふかした
突如大きな音がして
暗闇に目を凝らした
なんてことだろうと心は繰り返した
星が死んだ
ぼくの耳は
もう満たされてはいなかったのだ
プロリビテリウムは笑っていた
笑っていたと思う
笑い声に違いない
青白い光が
まだ見える
ありがとう
エデンへの扉を…
プロリビテリウムは力尽きた
スノーボールアース
その合図を君に送る
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