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エジプトの接客用語が「さらばじゃ~!」だった話

むかしむかし、海外旅行のカウンターで旅行を販売していたころの話。

きっかけは…


当時は、大手旅行会社が各国の政府観光局とタイアップして
「モニターツアー」を企画していた。

最終目的は一般顧客の申し込み獲得がねらい。
しかし、その前にカウンターで海外旅行を販売している
全国の窓口担当者向けに、その国の良いところを知ってもらい
一般顧客に直接セールスしてもらおうというのがこの企画のねらいだった。
私たち窓口担当者にとっては、リーズナブルに「その国」を満喫できる
最高の企画だった。

エジプトのモニターツアーに参加したのはそんなきっかけだった。

エジプトに到着


随分と長い飛行時間だったことを覚えている。
そして、首都カイロに到着した時は
視界一面にサンドベージュの布をまとったような景色に
ついに「エジプト」にきたーーー、と感慨深かった。

旅程はナイル川を船で移動しながら遺跡や観光地を巡るもの。
1週間くらいの旅程で最初と最後はカイロ泊だが
それ以外は、その船に宿泊する船旅だった。
豪華客船ではないが、ひとたび部屋に入れば
川の中に浮いているとは思えない立派な船だった。
船の乗組員の人たちも親切で対応も素晴らしかった。

ピラミッドやスフィンクスなどお決まりの観光地にも行った。
食事も美味しくいただいた。
ラクダにも乗った。
博物館も見学した。
歴史の教科書で習ったエジプト文明に実際に触れることができ
それはそれは貴重な体験をすることができた。

しかし、たった一つ気になったことがある…


不思議な日本語


観光地に着くとお土産屋さんの前を通る。
お土産屋さんといっても
日よけ用の布を屋根にした簡易テントのような店構え。
象形文字がデザインされた日用品や民芸品
エジプトを感じられるものがいろいろ陳列されていた。
もちろんこちらも、お土産は買う前提で行っているため
お土産屋さんの店先をのぞき込む。

その時に、店の店主?男性のエジプト人がほとんどだったと思うが
観光客に向けて発せられる言葉に驚いた。

「sarabajya~!」

最初はなんて言っているのかわからなかったが
彼らは「サラバじゃ~!」と言っていたのだ。

えー!武士?と驚いた。
お侍さんが分かれの言葉を言う時「サラバじゃ!」と言っているのを
時代劇で見たことがある。

行く先々で「sarabajya~!」
お土産を買ってほしいときも「sarabajya~!」
買わないことに決めそのお店を離れる時も「sarabajya~!」
あちこちのお土産屋さんで「sarabajya~!」「sarabajya~!」
とエジプト人全員が連呼していた。

この奇妙な現象を、モニターツアーの参加者で検討してみた。

過去に日本からの観光客の誰かが
「日本で流行っている言葉」として教えた?
日本の挨拶の言葉だと思っている?
サムライ好きのエジプト人が使っていた言葉が変な風に広まった?
接客用語マニュアルに書いてある?

などなど。

あれから随分月日が経った。
あの時以来、エジプトには行っていないが
きっと今はそんなことはないのだと思う。

今も日本にはサムライが刀を差して歩いていて…
なんて思ってはいないだろう。
正しい日本語が接客用語になっていることだろう。

きっと。

むかしむかしのお話。

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