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H28刑事訴訟法を出題趣旨と採点実感で分析する

はじめに

『』は出題趣旨と採点実感の引用。
1人の合格者が個人的に分析したものをまとめたに過ぎないため、読む際は十分に気をつけて欲しいです。

設問1

総論

設問1は、『強制処分と任意処分の区別,任意処分の限界について,その法的判断枠組みの理解と,具体的事実への適用能力を試すことを狙い』としているらしい。現在確認したものに過ぎないがこれ以降に、平成30、令和6年で同様の出題趣旨が出されていることから受験生が分析する上では、先にそちらを分析する方が得策だと考えている。
また、私が書くこともそちらと共通するものがほとんどであるためここでは、おおまかな流れ、触れるべき事実、平成28年&令和6年との差異に絞って分析する。

論述の流れ

出題趣旨は、①『強制処分と任意処分の区別に関する判断枠組みを明確化する』②同基準に当てはめ③『任意処分にとどまる場合においては,任意処分として許容され得る限界についての検討』 という流れで書くことを求めていると考察。 

触れるべき事実と評価についての見解

強制処分と任意処分の区別(①の基準に対する当てはめ)において、『Pが甲の前に立ち,進路を塞いだ事実,パトカーで甲車を挟んだ事実,Pが両手を広げて甲の進路を塞ぎ,甲がPの体に接触すると,足を踏ん張り,前に進めないよう制止した事実,更には胸部及び腹部を前方に突き出しながら,甲の体を甲車運転席まで押し戻した事実等』に触れることが求められており、これを『甲の態度にも着目しつつ,それらが甲の意思を制圧するに至っていないか,甲の行動の自由を侵害していないかといった観点』で評価することが求められている。
事実の指摘と評価、とよく言うが評価について、社会通念という名で受験生個人の主観に委ねられているような感覚ある。これがセンスと称される原因だと思う。私は、資格試験は徹底的にセンスを排除する準備をしなければならない、と考えているので、評価の仕方については、a)判例を読み評価の仕方を覚え、また頭に落とし込む b)基本書や出題趣旨等を分析し、いかなる「観点」で評価をすればいいのかを分析する という方法で準備をしていた(これらは意識してまとめている時もあれば、判例を読む際に気をつけて読むだけで明示的にまとめたりしていない場合もある)。観点を明確に持つことで、評価の方向がわかりやすくなった。
本出題趣旨では注目ポイントや観点が明示されているのでとても参考になると思っている。

他の過去問との差

先に令和6年と平成30年を分析した私としては、平成28年は出題趣旨の『いずれかの段階から強制処分に至っているとの結論に至った場合であっても』という文に着目した。他の過去問にこのような記載がなかったからである。
これを分析するに平成28年は他の過去問が写真撮影等(ビデオ撮影を含むが)の一時点での強制処分該当性を問題とするのに対して、継続的な捜査の強制処分該当性を問題としている。したがって継続的な捜査については、どの段階から強制処分と評価できるかを明示して論証することが適切であると考察している。
出題趣旨も『留め置きの任意捜査としての適法性を判断するに当たっては,本件留め置きが,純粋に任意捜査として行われている段階と,強制採尿令状の執行に向けて行われた段階とからなっていることに留意する必要があり,両者を一括して判断するのは相当でないと解される。 」とする裁判例があ』ると指摘しており、他にも口述試験の過去問で同様の論点が問われていた。
したがって、次に出題される場合に備え、どのような段階であればどのように評価されるのか(純粋な留置の差と令状請求をして待っている間等)、というのは準備しておくべきだと考える。

設問2

以下、後日に追加。

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