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司法試験 憲法 一元化教材(まとめノート)
はじめに
私が実際に使っていた憲法の一元化教材(まとめノート)です。
権利ごと、場面ごとの処理をあらかじめ用意・まとめたものです。
判例から当てはめの観点を抜き出しているところ、『』で囲ったところに論証があるところ、が特徴です。
憲法の成績は、司法試験がA、予備試験がCであるため、並だと思いますが当日に滑らないために私なりに丁寧にまとめていました。
なお、一受験生がまとめたものに過ぎないため、利用する際は十分お気をつけください。
総論
外国人の人権享有主体性
『マクリーン基準 性質説』
判例は、基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶとしている。
プライバシー権(情報の収集) 13
総論
・情報の秘匿系が問題となっている。情報の性質がまず重要であり、情報自体がセンシティブなものもあれば、情報自体は単純であるが、使用方法によっては照らし合わせたりして個人を特定できるので秘匿の必要性が高まる。
・収集が問題になっているのか、開示(管理)が問題になっているのか、などの視点がいる。
権利について
・私生活上の権利として、情報を公表されない自由が保障されている(住基ネット)。
→前提となる収集、管理も保障と持っていくべきか。
・特別に前科とプライバシーに属する情報については判例がある。
『個人情報の管理 一般 住基ネット』
個人の私生活上の自由の1つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示公表されない自由を有する、としている。
『前科の秘匿 前科照会』
個人の私生活上の自由の一つとして、前科等をみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有する。
『プライバシーに属する事実の秘匿 Google』
もっと端的に、個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となる
制約について
◯総論
・収集、管理、公開と段階があるイメージで、収集が許されないことを戦う場合と、公表のおそれがある場合に頭を分けた方がいいかも。
→多分、収集だけが問われる気がするが、流出のおそれがあるなら公表されない自由の話に持っていって、判例の基準を使うか。
◯収集方法について
・継続的、網羅的であるならば相当性が欠ける方に傾く[手段審査]
→GPS捜査は必然的にそのような捜査になる。
『網羅的な収集 GPS捜査』
収集方法の性質上,公道上のもののみならず,個人のプライバシーが強く保護されるべき場所や空間に関わるものも含めて,使用者の所在と移動状況を逐一把握することを可能にする。
◯公開について
・公開することを伝えていたか(江沢民)[手段審査]
・公開したことになるか(制約になるか)
→①現に公開できる範囲外に公開した場合と②公開するつもりがないのに公開されてしまった(情報漏洩の危険性があることで良い)という2面から侵害を判断。
→後者につき、判例(住基ネット)は、具体的危険性まで求められるとし、その危険性を①処罰規定②審議会の存在③単純に具体的危険性がないことで判断しているはず。(住基ネットは、公開に当たらず、制約を否定。)
⇨具体的危険性まで求められるものか否かは情報の性質による、と理解。
審査基準
◯総論
・審査密度は情報の性質で決まるはず。
・他人に知られたくない情報は価値が高い、つまり、審査密度を高める。
◯一般情報の性質について
・指名、生年月日、性別、住所等は、人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている情報であるから、秘匿性の高い情報ではない(住基ネット)
→個人の内面に関わるものであれば高いらしい(住基ネット)。
そうならば、もしかしたら、性別は現代において重要性が高いかも。判例は住民票コードが、4情報と同じ程度の秘匿性、と示している。
⇨新たに収集される情報か否か、という視点もある(住基ネット)
・情報の収集により、匿名性が上がるかも、という視点〔データマッチング〕
→利用法次第では、という話に近いか(マクリーン)
・情報の性質はおそらく、公開ができる範囲に関わる。
→秘匿性の低い情報ならば、公開できる範囲について目的が正当であれば許される。
・位置情報は原則、低価値のはずだが、場所によっては価値が高まる
→宗教施設等。
・学籍番号等も、個人を識別を行うための単純の情報につき秘匿の必要性は高くない。
◯指紋について
・万人不同性と終生不変生を有する(マクリーン)
→利用方法次第では、私生活上の自由が侵害される。
⇔内心に関する情報ではない。
◯容貌について
・自己の容貌を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益を有する(毒カレー事件)
→写真でなくとも、イラストであっても同様。ただし、写真は、化学的方法によって再現しているのに対し、イラストは作者の主観や技術が含まれる。
・公共の場ではプライバシーの保護は希薄化する(とらわれの聴衆)
◯前科
・前科など、他人に知られたくない情報の秘匿はプライバシーの権利の中でも特に重要と理解。
・前科については、人の名誉、信用に直接関わることであるから最も他人に知られたくない情報の1つ。
⇨判例で明示的に示していないけど、だいぶ重要ははず。
・事実の公表によって新しく形成されている社会生活の平穏を害されその更生が妨げられない、という利益がある、というのも重要性を高めるポイント(逆転)
『前科の性質 前科照会』
前科等は、人の名誉、信用に直接関わることであるから最も他人に知られたくない情報の1つである。
前科開示請求について
・公開してしまった行為の違法性の話。
◯基準
・判例でいいはず。
→前科等の有無が訴訟等の重要な争点となって、前科の照会に回答しなければ他に立証方法が無いような場合、かつ、公開する範囲は最小限度じゃないとだめ
◯基準変動要素
・誰の請求で開示するかという視点
→弁護士会、裁判所を一個の官公署の性格を有するという見解(前科照会・反対)
・誰が開示するか、という視点
→公的機関であっても私人であっても基本的に変わらない(逆転)
・社会的な意義、社会への影響力、公的立場にある人物か、などは考慮対象(逆転)
・犯罪の種類や軽重が考慮要素になるかは、多分。
◯手段審査
・「みだり」と言えるか、開示の程度はどうか、という視点。
→程度の審査に使う。
『前科照会に応じる基準 判例を踏まえ』
公開が許されるのは、前科等の有無が訴訟等の重要な争点となって、前科の照会に回答しなければ他に立証方法が無いような場合に限られ、かつ、公開する場合であっても、必要最小限度の範囲に限ってのみ公開し得るにとどまる。
Google検索 〈SNSの事件〉
・公開する側の表現の自由との均衡の問題。
→表現行為として認められる〔表現の自由のところで〕
◯基準
・検索サービス提供とプライバシーの権利は比較衡量(Google検索)
→情報の性質はここで評価の対象。
⇨「明らかに」公表されない法益が優越すれば、という基準。
・これに対し、Twitter事件は、明らかに、という要件が削除されている。
→理由は明確ではないけども、情報流通場所としての差か。
『情報提供者とプライバシー権の均衡 グーグル検索』
検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じその者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、(当該事実の性質及び内容、当該UR L等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,)当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当。
答案において
・情報の収集と公表のいずれを問題としているかをまず気を付ける。
・収集される情報は何かを特定。
→情報の価値を判断して、審査基準を作る。
・収集の目的と収集の網羅性を意識する。
私生活上の自由 13条
・13条から導き出される権利の1つ。
・京都府学年事件から導出。
『国民の私生活上の自由 京都府学連事件』
判例より、憲法13条は、国家権力から国民の私生活上の自由を保障している。
写真撮影について
・私生活上の自由として、みだりに容貌を撮影されない権利も導出されている(京都府学連)
⇨特に、警官の写真撮影が許される基準を示している(捜査という特徴を意識)
・取材として行う場合に判例はある(毒カレー)
→撮影もダメだし、それを公表することもだめ。
⇨判例(毒カレー)は、本当はとってはダメなところで写真を撮っていたし、撮ったタイミングの客体も手錠をしているなど人格的利益を損ねる恐れが高いタイミング。
・写真を撮られる場所が重要
→通常,人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所ならば、相当性があることに傾く。例えば、公道(パチンコ撮影)。
『みだりに容貌を撮影されない自由 京都府学連事件』
判例より、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もその承諾をなしにみだりにその容貌を撮影されない自由を保障している。
『警官の写真撮影が許される基準 京都府学連事件』
現に犯罪が…
『写真撮影一般の基準』
被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。
指紋押捺
・指紋という情報の性質から、内心でなくとも私生活上の自由に関わると論証(マクリーン)
→みだりに指紋の押捺を強制されない自由がある。
『指紋押捺を受けない自由 マクリーン』
判例より、私生活上の自由の1つとして、みだりに指紋の押捺を強制されない自由が認められる。
平等権 14
総論
・平等権一般は、国籍法判決を使って書けばいいはず。
・平等は、制約とかいう概念を通すより、より端的に、合理的な理由でない区別か否かを問うと理解する。
・ただし、具体的な区別をするとき(適用違憲)の場合は、考慮要素を参考に具体的な基準を使うべきか
【答案の流れ】
① 平等の定義
② 合理的な理由に基づく区別と言えるか
③ 区別理由を特定
④ 基準定立の基準
⑤ 基準
権利について
・平等の定義が重要。それだけ。
『相対的平等 論証』
判例は、「法の下の平等」(憲法14条1項)の意味について、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、区別すべき合理的な理由なくして区別することを禁止することを禁止している趣旨と解すべき(相対的平等)、としている。したがって、区別すべき合理的な理由がある場合に、区別することは許される。
審査基準について
◯総論
・基準は、国籍法事件。判例は、重要な法的地位と区別事由が自らの意思では変えられないこと、という2要素が重なっているので、「慎重な」判断を要求した。
・試験は、この2要素があるならば、絶対高める。片方だけの時も同様に慎重に審査すべきとしていいか。
・①区別事由②区別されることによって失われる権利利益を中心に判断する。
(⇨①区別を生じさせている事柄の性質②区別の対象となる権利利益の性質とその重要性)
・憲法14条後段列挙事由は、信条を除いて、自己の努力では変えることのできない事由
→ただし、憲法14条後段列挙事由だから、という理由はいらない(学説過ぎない)。直接、自己の努力では変えることのできない事由だから、厳格な関連性を求めるとしていい。
◯区別事由について
・1番の観点は、自己の努力で変えられるか否か、のはず。
・信条によって区別されている場合は、憲法19条で保障されているものだから、これを理由に区別するのは慎重にすべき、という判例とは少し離れた主張がいるかも。
・異なる慣習があることを理由に、男女の髪型の区別を認めているのは少しだけ意識。(髪型事件 S60)
◯重要な法的地位
・国籍以外だと、憲法上の権利をあげるべきか。
◯裁量について
・裁量を認めて緩やかに審査している事件もある(サラリーマン事件)
→国籍法も多分、法律による制度形成に委ねられた領域だから、それでも慎重に判断した のだから、多分権利の重大性を強調して厳格審査に持っていけそう。
『平等権 基本 審査基準』
判例は、区別することの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、またはその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、合理的な理由のない区別として、憲法14条1項に違反するとしている。
『国籍法 基準要素』
ただし、区別の対象となっている権利・利益の重大性が高く、かつ、区別理由が本人の意思や努力では変えることのできない地位に基づくものである場合に判例は、合理的理由の存否を慎重に判断すべき、としている。
『サラリーマン事件 基準』
ただし、区別するか否かについて政策的、技術的な判断に委ねられる領域については、判例は、立法府の裁量的判断を尊重せざるを得ないので立法目的が正当であり、かつ、区別の態様が立法目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り合憲である、としている。
答案において
・区別事由と区別されることによって失われる利益を特定する。その後に、裁量が認められる領域かを意識しておく。合憲ならば、国籍法の要素に触れずにサラリーマンを持ってきて緩やかに戦うので良さそう。
・区別される理由がなんであるか、というのは大切にする。どうしようもなかったり、それで差をつけるのはおかしい、みたいな感覚は持っておく。
思想・良心の自由 憲法19条
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