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菓子市場2024年レポート:価格上昇時代の新たな消費動向

みなさん、こんにちは。
私は食品業界に関わっていますが、最近のお菓子業界ではなかなかおもしろい数字の動きをしているので、ぜひ皆さんにも共有させてください。


意外と強いお菓子市場


矢野経済研究所の最新調査によると、2023年度の流通菓子市場は2兆1,039億円(前年度比5.6%増)を記録。2024年度も2兆1,689億円(前年度比3.1%増)と予測されています。特に注目すべきは、キャンディ・キャラメル市場が前年度比11.4%増の2,843億円と大きく成長していることです。

深刻な原材料高騰

一方で、原材料価格の高騰は深刻です。特にチョコレートの主原料であるカカオ豆は、西アフリカでの不作により、2024年4月には史上最高値となる1トンあたり12,000ドルを記録。2024年初めと比べて約142%も上昇しています。
これらは確実に商品価格に反映されています。

帝国データバンクの調査によると、

2024年の値上げ要因の内訳は:

  • 原材料高:92.7%

  • 物流費 :68.6%

  • 円安  :28.4%

  • 人件費 :26.7%

となっています。
本当に様々な要因が重荷になっている状況です。


賢くなった消費者

このような状況の中で、消費者の購買行動は確実に変化しています。
デロイトトーマツの調査(全国20~79歳の男女5,000人対象)によると、
「コストパフォーマンスを意識するようになった」(27.6%)
「節約と贅沢のメリハリをつけるようになった」(29.4%)
と、約3割の消費者が価値観の変化を報告しています。

特に注目すべきは、この傾向が所得層を問わず広がっていることです。従来は低所得層に多かった節約志向が、高所得層(600~1,000万円以上)でも昨年の13.9%から16.6%へと増加しています。
 また、消費金額の変化を見ると、外食(15.1%、前年比2.3ポイント増)や旅行(14.5%、同2.1ポイント増)などの「外向き消費」に対する支出は増加傾向にある一方で、各カテゴリーで1~3割の消費者が「消費金額が減った」と回答しており、メリハリのある消費行動が鮮明になってきています。

このように、2024年の消費者は、単純な節約ではなく、より戦略的で賢い消費行動を取るようになってきているのです。

二極化する消費傾向

特徴的なのは、消費の明確な二極化です。デロイトトーマツの調査によると、消費者は日常的な購入と特別な機会で、はっきりと異なる購買行動を示しています。

日常的な消費では、より賢い選択へ

普段使いのお菓子では、コストパフォーマンスを重視する傾向が強まっています。具体的には、プライベートブランド(PB)商品の積極的な活用や、大袋タイプ・ファミリーサイズの選択が増加。特に、セール時にまとめ買いをする消費者が前年比15%増加しているのが特徴的です。また、従来のナショナルブランド(NB)からPB商品への切り替えも進んでおり、特にスナック菓子やビスケット類での切り替え率が高くなっています。

特別な機会では、むしろ贅沢に

一方で、特別な機会には、むしろ積極的に価値のある商品を選ぶ傾向が強まっています。「自分へのご褒美」として高級チョコレートを購入する層は20代・30代女性を中心に増加。また、贈答用や手土産では、老舗和菓子ブランドの製品が選ばれる傾向が強く、この分野では前年比8%の売上増加が報告されています。特筆すべきは、この「メリハリのある消費」が、年齢や所得層を問わず広がっているという点です。消費者は、「いつ」「どんな場面で」「何を」購入するかを、より戦略的に選択するようになってきているのです

これからの展望

2024年度も原材料高や円安の影響は続きそうですが、消費者の「賢い選択」は、むしろ市場を安定させる要因になっているようです。特に注目すべきは、チルドスイーツや専門店スイーツの代わりに、より価格が安い流通菓子へ需要がシフトしている点です。

この変化は、菓子メーカーにとって重要な示唆を含んでいます。消費者は単に「安いから買う」のではなく、「価値に見合った商品を選ぶ」という判断基準に変化しているのです。実際、キャンディ・キャラメル市場は前年度比11.4%増の2,843億円と大きく成長しており、特にのど飴やグミなど、実用的な価値や明確な用途を持つ商品カテゴリーが好調です。このトレンドは、今後の商品開発やマーケティング戦略にも大きな影響を与えるでしょう。

例えば:

  • 実用的な価値の明確化

  • 適正な価格帯の設定

  • 新しい購買機会の創出

消費者の賢い選択は、むしろ菓子市場全体の健全な成長につながっているのかもしれません。

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