人それぞれだけど、生きやすいように… #創作大賞感想
ちょうど今、人間らしい日常(笑)を目指して、絶賛生活見直し中のわたしには、ストレートに響いてくる小説だった。
せやま南天さんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」は、主人公が家事代行の仕事と向き合っていくお話。
『家事をすると、生きやすくなる』
そんなこと考えたこともなかったけど、すごく腑に落ちた感じがした。
子どもの頃から片付けが苦手だった。
両親は共働きだったから、台所仕事を手伝うことは多かったが、家事は大人になってからも苦手意識がある。
わたしの母は、50代半ばで仕事を辞めてから、家の掃除をかなりやっていたようだった。わたしはすでに実家を出ていたけれど、帰る度に家電か何かが新しいものになっていたり、食卓に箸置きやランチョンマットが丁寧に並べられるようになっていて不思議だった。
読みながら、あれは母なりに心地良い生活をつくっていたのかも、と思った。
外からは見えないのをいいことに、家事はいちばん最初に手を抜くところだと、どこかでずっと思っていた気がする。洗濯はしかたないけど、料理や掃除は時間ができたらやろうなんて考えて、結局ずっと適当なまま過ぎてしまう。
自分のために時間を取ろうと思うようになったここ最近でも、わたしのデフォルトはずっとそうだった。いつも、外側優先。
わたしは主人公とは違うタイプだと思うのに、家事について考えながら同じ目線になった気分で読んでしまった。
人それぞれ生活がある。家族がいて、好きなものがあって、仕事があって。
家事は誰かに評価されるわけでもなく、自分のやり方でいい。
今読めてよかったと思える小説だった。
ぐるぐる迷路にハマったときの解決方法が、海へ行くというところも好き。
海無し県に住むわたしには、羨ましい限りですが…。
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