ファーストリテイリングの手法

ユニクロの商品は過去何度か商品の値上げを試みて失敗してきた。
値上げを失敗していた理由として、当時のユニクロの強みはコスパであった。また当時はユニクロバレという言葉もありメインの顧客はデザインやブランド力より価格の低さが理由で商品購入していた。そのため商品価格が上がると魅力が薄まり購入者が離れてしまっていた。
値上げの試みが成功しだしたのはルメールなどの著名なブランドのデザイナーを起用したりジルサンダーやJWAなどのコラボレーションを行い始めてからのように思える。中でも特に印象的だったのはヘルムートラングとのコラボレーションアイテムとしてリリ-スされたデニムであった。
当時話題になったこのデニムは特段変わったデザインではないが金額が5桁に乗り、SNSなどでも話題になっていた。(当時のユニクロのデニムは3999円ほどのものがほとんどだった)当然この商品自体は売れ残り、値下げカートに入っている姿を度々目にした。しかしユニクロの本当の狙いはコラボアイテムの価格を消費者の脳裏にすり込むためだったのではないかと私は思う。このデニムは普段からしたらかなり高額であるがコラボアイテムということでなんとなくの納得感を覚えてしまう。このなんとなくの納得感を繰り返し見るうちに自然とユニクロがこの価格でも高くないのではないかと思うようになる。また同時に洗練されたデザインがユニクロから販売され、各ファンの消費者だけでなくデザインやブランドのファンである消費者を増加させることに成功した。
実際に当初のコラボアイテムは現在ユニクロ:Cやユニクロ+Jなどと名前を変えて通常の商品に1000円から2000円ほど上乗せされた価格で販売されている。しかしこれらの商品は毎シーズンその洗練されたデザイン性の高さからSNSで話題になり発売初日では即完という譲歩も目にするようになった。もはやユニクロバレという言葉はなくなり逆にユニクロの商品を自慢する服好きも多い。
またシーズンごとに話題のコラボアイテムをリリースすることで来店した人たちは定番のアイテム(ヒートテックやエアリズムなどの季節の変わり目の欲しくなるようなアイテム)も同時に購入しユニクロの売り上げは大きく上がっているように思える。
このようにユニクロはいくつかのコラボラインを持つことによってブランドのファンの獲得や値上げを、充実定番商品のライナップによって従来の顧客の囲い込みを同時に可能にしてきたのである。
(最近では海外限定のラインの立ち上げやヨーロッパ規格の製造も手がけている。またヨーロッパ限定企画の商品は最近できたユニクロ新宿店で限定販売を行いこれもまたSNSで話題になっていた)

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