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夕焼けレインボー

陽が落ちた後の空は
まだ名残惜しそうに輝いている。

こんな色のグラデーション
見たことない
自然が作り出す色って本当に綺麗だと思う。

まだ僕はここにいるよ
やり残したことはないかな
今日が終わって
また明日が来るよ

最後の光を放って何かを伝えてくる
そんな空の色に惹かれてまたここへ来てしまった。

19:30でもまだ明るい
これくらいの時間になると昼の殺人級の暑さが嘘のように、風が心地良い。
アスファルトの熱も和らいでワンコの散歩ラッシュ。

私は夏生まれなので、暑いけどこの季節が好きなのです。
誕生日もあるし節目な気がして、昔は意味もなくワクワクしていたような気がする。
ひと夏の恋のように気持ち的にも服装的にも解放されるのかも。

愛知県の知多半島というところに住んでいて、海が近い場所で育った。
名古屋から30分くらいの場所だけど、気温が2、3度低くて、風もあるので涼しく感じる。

夏といえば海。
浮かれた人たちがたくさん集まってくるので、そういう気持ちが移って同調するのかも知れない。
初めてアルバイトしたのは、日間賀島の民宿だった。これもまた海辺。
高校1年生だったか2年生だったかな
毎年家族で旅行に行っていた場所で、誘われたので行くことにした。
いきなりの住み込みでお盆の前後1週間くらいだったけど、全てが初めての体験で、楽しくてあっという間だった。
朝は早かったけど、昼はやる事がないので毎日泳ぎに行って、日に焼けて、元々陸上部だったのもあって真っ黒だったなぁ。
その頃の写真を見ると、ショートカットだったし、少年のようだ。笑
花火もあるし、イベントが盛りだくさん。
ワクワクするのは必然だった。

さらに子供の頃の、とある夏の日の思い出。
あれは小学校低学年くらいかな
夏休みに蝉を捕まえた
虫籠に入れて観察していた
こんな箱の中では鳴くはずもなく
どんどん弱っていった
もうあまり動かない
どうしよう
死んじゃうかも

ということで逃してあげようということになった。
父に木がたくさん生えている公園に連れて行ってもらった。
ここでいいかと思う木にその蝉をくっつけたら、とりあえず蝉はしがみついていた。
ノロノロと歩き出したのを確認して帰ろうと歩き始めた。

しばらくすると、後ろの方で
「ジジジジジっ」
「蝉ー!!」
「こんなとこにいたから捕まえたよー!」
そんな声が聞こえて、振り返ると3、4人の高校生か大学生か、子供の私から見ると大人に見える人たちが蝉を逃した木の辺りで騒いでいた。

私はすぐに戻ろうとした
だってあの子が捕まってしまった
せっかく逃したのに
今度こそ死んでしまう
もうかなり弱ってるし
そう思ったらいてもたってもいられなかった
だめ!連れて行かないで。

放してあげてと、泣いている記憶しか今はもう残っていない。

戻って、それは今逃した蝉だと言ったのか
父が私を止めたのか
詳細はもう全く覚えていないけど
私はすごく泣きじゃくって
父に慰められていたのを覚えている

蝉の寿命が短いのを知ってか知らずかもわからないけど
いや、当時は知らないと思うけど

とにかくあれは本当に悲しかった。
手放してしまったら、私の蝉ではなく
そこにいるのはもうただの蝉でしかないのだ。

自分の力ではどうすることもできないことがあるのだとうことを初めて知った瞬間だったのかも知れない。
そしてその原因を作ったのは紛れもなく自分であり、取り返しがつかない事をしてしまったという罪悪感を初めて味わったのだろう。

とはいえ何もできない
蝉の寿命も運命も
元はといえば自分が捕まえたのが始まりだったのに。

強烈な夕方の空のグラデーションに見とれていたら、強烈な一場面が蘇ってきたのでした。いつの間にか蝉の声はもう止んでいて、波の音だけが静かに聞こえてきます。

その後あの蝉がどうなったのかはもう知るよしもないけど
心が動いたので書いてみました。

南無ぅ

***

皆様もそれぞれの夏をお楽しみください。
私も満喫中なのさ。もちろんそんなのバレテーラ、だって?

なんのはなしです夏🌈

ちゃお。







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あさみ
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