見出し画像

行きそびれていた街を歩く

歌舞伎町で忘年会をすることに。
せっかくなので、あちこち寄り道していこうと考えました。

今回は、行きそびれていた街を歩く二泊三日の旅です。


【常磐線で南下】

仙台発・品川行きの特急「ひたち」。新幹線よりもお安い。平日はかなり空いている。
浪江、双葉、富岡、楢葉など聞き慣れた地名を南下する車窓。

【水戸を歩く】

江戸期には度々歴史を賑わせた水戸。
南下のルート上にあり、初めて下車しました。

茨城県立歴史館では銀杏の葉が派手に舞っていた。
水戸の歴史と言えば水戸光國や桜田門外の水戸浪士ですが、私が最もココロ揺さぶられたのがこの展示。戦後にパラオのペリリュー島から回収された遺品。水戸で編成された歩兵第二連隊は精鋭と言われていましたが、激闘のすえ9割が亡くなった。

ペリリューの征服は、ひどい苦戦の物語りである。(中略)
日本軍をペリリューから一掃することはいっこうにはかどらず、実に次の年の二月まで高価な作戦を続けなければならなかった。

C.Wニミッツ、E.Bポッター「ニミッツの太平洋海戦史」
10分ほど歩くと偕楽園に至る。
徳川斉昭が作ったゴージャスな庭園と御殿が高台にある。
敷地の4割くらいが梅林。次回は梅の開花のときに訪れたい。
高台を降りると千波湖(せんばこ)に。市民が散歩やジョギングをしている気持ちの良い道でした。道の奥が水戸中心部。
「みとちゃん」黄門+納豆+梅。


【谷根千(やねせん)を歩く】

翌日は、谷中・根津・千駄木の下町エリアを歩く。
学生時代に行きそびれていた東大の「三四郎池」が目的地です。

常磐線に乗り、日暮里に向かう。JREBANKのモバイルSuicaグリーン券の特典を初めて使う。車窓には筑波山。
広大な谷中墓地をランダムに散策。渋沢栄一や徳川慶喜の墓を見つけた。
谷中さくら通り。あちこちに古い家が残る。
千駄木の団子坂上にある「森鴎外記念館」。原稿・書簡・遺品などがシンプルに分かりやすく展示されていた。
根津神社の紅葉。

【本郷を歩く】

私立文系の身には敷居が高く、学生時代に行きそびれていた東京大学。
外国人観光客で賑やかなキャンパス。
念願の三四郎池。落葉で水面が見えない。小川三四郎と里見美禰子が出会った場所です。

ふと眼を上げると、左手の岡の上に女が二人立っている。女のすぐ下が池で、池の向う側が高い崖の木立で、その後が派手な赤煉瓦のゴシック風の建築である。そうして落ちかかった日が、凡ての向うから横に光を透してくる。女はこの夕日に向いて立っていた。(中略)
二人の女は三四郎の前を通り過ぎる。若い方が今まで嗅いでいた白い花を三四郎の前へ落としていった。

夏目漱石「三四郎」
安田講堂前の広場で「谷中せんべい (100円)」を食いつつ日向ぼっこ。まだ歩けそうなのでさらに南下することにした。

【神保町を歩く】

ちゃらちゃら流れるお茶の水♪
明治大学はさま変わり。
ニコライ堂は変わらない。
神保町の古書店街。「文華堂書店」は戦記物がもっぱら。
つい買ってしまった…。ずっと読みたかったニミッツの絶版本「太平洋海戦史」。Amazonでは高値で躊躇していたが1,800円で買えた。

【歌舞伎町】

小川町から地下鉄に乗り新宿へ。居酒屋で高校時代の友人と懇親。S君は有名雑誌の編集長だったが出版不況のあおりで廃刊。フリーのカメラマンをしているが、奥さんに食わしてもらっている様子。自営業のK君は地元の商工会で活躍しつつロックバンドを継続中。T君は自動車部品メーカーの品質管理職で仕事が嫌でたまらない。それぞれの57歳。

【館林へ】

懇親後は埼玉の友人宅に泊まり、翌日は館林へ。ここは日清製粉グループの創業の地で、駅前に「製粉ミュージアム」がある。
シフター(フルイ機)。天井のノズルから粗い状態の小麦粉が白い小屋に落下。小屋は左右に激しく振動する(左のは旧タイプ)。
小屋の中にはフルイの板が層をなしている。フルイのメッシュは下段に落ちるほど細かくなる。床のノズルを通って粒度の違う小麦粉が等級毎に分けられていく。
右は正田さんの旧宅。歴代オーナー社長の功績の押しが強い展示に社風がうかがえる。奥に見えるは館林工場。
群馬県立館林美術館は彫刻の展示がメイン。
ガラス張りの通路が続く。
フランス人彫刻家ポンポンの、
アトリエが再現。
館外でもゆったり過ごせる魅力的な美術館でした。


東北地方はとっくに冬ですが、関東はまだ秋でした。
年々秋を好きになりつつある私にとって、再び秋を体感できたのはとても嬉しいことです。
来年あらためて「日本列島 秋の旅」を計画したいと思います。

【追伸】
今回うまかったもの。

館林美術館カフェのワッフル。プレスで焼きたてのワッフルは表面がサックリした軽い食感。紅茶葉が練り込まれておりとても香ばしい。クリームもコンパウンドではなさそうで、良いものをちゃんと作っている姿勢に好感。

ではまた…。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集