笑いのカイブツ
これ本当に実話だよな…って上映中に何回も思い返した
事実は小説より奇なり
笑いに全てを注いでいる、、というより笑いに取り憑かれた
主人公ツチヤタカユキの姿はもはや狂気じみている。
5秒ごとに面白い事を考えている、とあったが映画を観るまでは比喩表現だと思ってた。まんまストップウォッチで5秒計りながらノートに書き殴っていた。誰がストップウォッチ片手にそんなストイックなことするねん。
適当にこなしている連中がたくさんいる社会に唾を吐き、
その社会に上手く入れず跳ね返され
でも笑かしたいのはその社会で
なんとも皮肉なパラドックス
居酒屋での叫びのシーンはめちゃくちゃ良かった。
人間の皮を被ったカイブツの強気な部分と弱い部分が、口から溢れ出たようなシーンは圧巻で、少し人間が顔を出したようで安心した。
ツチヤのようなどこかが欠如していて何かに秀でる人(いわゆる才能なのか)って芸術家にいると思うし、努力量だけでいうならアスリートにもなれそうだが、幸か不幸か、ツチヤの場合それが”笑い”だった。目に見えなくて正解がなくて勝ち負けがなくて難しい。
もし、私の周辺にツチヤタカユキがいたら出来るだけ関わらないようにするだろう。いわゆるコミュ障で机や壁に頭を打ち付ける癖、挨拶もろくにできないし、バイト中も笑いのことを考えて仕事にならない、酒に溺れて地面に寝そべる。だが笑いの才能だけはある。こんな狂気的なカイブツを演じられるのは岡山天音しかいない気がする、し、重要なピンク役の菅田将暉もさすがしかない。もう一度書くが居酒屋のシーンがすごく良かった。
ただ、
笑いに懸けたツチヤタカユキの半生は決して笑えなかった
これは盛大なボケか?
共感も報われた感もないけどそれが実話なんだろうなと思った。
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