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記憶のはなし

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ひとは、記憶があって、はじめて、人として生きていけます。記憶は、そのひとの、存在の履歴であり、証です。もし、記憶がなくなったら、ひとは、どうなるのでしょうか?…そのことを、ずっと…
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2024年6月の記事一覧

連還する記憶 ⑧ 

連還する記憶 ⑧ 

 

連還する記憶 ⑧

<人を宿主とする微生物>

このような働きをする微生物から、ヒトの体を見たとき、生息する糧を供給し、働く場所を提供してくれる、いわば宿主、と捉えることができるでしょう。ヒトは微生物の宿主になっています。

またべつの言い方をすれば、ヒトは微生物により生かされている、ということもできます。微生物には、ヒトを殺すのではなく、ヒトに生命を保持し運用させる働きがあるのです。その働

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連還する記憶 ⑦ 

連還する記憶 ⑦ 

 

連還する記憶 ⑦ 

観念を造り出す知性の働きから、理想の誕生と理念の構築という、認識能力を備えたヒトとして、象徴的な収穫物を得られることを確認しました。

本来的に生き物であるヒトやヒトの集団は、自分が生存するに足る理想を造り出し、それを守り抜くべく理念を構築し、実践します。その過程で、ヒトは、生きるために実践するあらゆる行為を、生体に結びつく有機的な観念記憶として、自らの認知体系に保存し

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連還する記憶 ⑥ 

連還する記憶 ⑥ 

連還する記憶 ⑥

連還する記憶⑤では、生命記憶と存在記憶と同じ時間と空間を共有しない観念記憶の脆弱性と危険性について、考察しました。

生命体と時空を共有しない記憶、それは、生命と存在の、たえまなく繰り返される連還の有機的記憶の集積(歴史)へのアクセス権をもたない、閉鎖回路内で自己完結する、無機質の観念記憶です。

生命と存在に有機的に関わる記憶には、生命を否定し存在を脅かすものに抵抗し、排除し

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