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18. お姉さん的存在

わたしには妹がいるのですが、今日は妹の家へ遊びに来ています。

わたしと妹は、声がほぼ同じで家族でも電話で識別不能ということを除いては、顔も全然似てないし、性格が真反対です。
例えば、同い年で同じ教室にいたら絶対に違うグループにいて、お互い話をすこともなかっただろうなーと。

2人の性格の違いを一番よく表すのは、学校とか会社とか新しい場に行く時、わたしはとりあえず周りのひとにどんどん話しかけていくタイプで、妹は話しかけられるのを待っているそう。これ、ショップの店員さんに対しても。わたしは話しかけてモノを買う、妹は自分が欲しいものを調べて買うので店員さんと話す必要性もないそう。ホント、血が繋がっていなかったら全く交わらなかっただろうね、お互いに。

ただ、性格も服の趣味も男性の好みもことごとく違うわたしたちなのですが、わたしにとって何事も一番分かり合えるのは、実は母よりも妹だったりします。

妹にとっても、何かあったときに話をすることでちょっと気持ちが軽くなるわ、みたいな姉でいたいなーと常々思っているのですが・・・(頼りないかもだけど、気持ちの上では頼れる姉を目指してマス)

さて、何で妹の話をしたかと言うとですね、
12年前、わたしが未経験ながらに人材業界に飛び込み、一番初めにわたしの教育担当をしてくれた女性の先輩が言ってたこと、

「いつでも、求職者の方のちょっと頼れるお姉さん的存在でいること」

この一言を、実の妹と話をしながらふと思い出したのです。

就職超氷河期世代のわたし、新卒での就活をせず、20代前半はスキル無し、フリーター、ブラック企業に勤めるなどかなり闇の深い、不安ばかりの時間を過ごしました。

27歳の時、「派遣」という働き方を知り、派遣に救われたわたし。自分と同じように仕事の探し方がわからない、未来に不安しかないという求職者をひとりでも減らしたいと、何か使命感のようなものを勝手に感じて派遣会社へ転職しました。

面談される側からする側へ

最初は、派遣コーディネーターのアシスタントとして入社しました。

新たに派遣スタッフとして登録に来る方の面談、対面や電話で求人内容を案内する仕事紹介、レジュメの作成などが主な業務内容でした。

今までは、転職活動で応募者として面接を受ける側、派遣会社での登録面談を受ける側のわたしでしたが、今度は逆にわたしが求職者の面談をする側へ。

20代前半はアパレル販売、イベント事務、ジュエリー店でのVIP顧客へのシャンパンサーブ、教材の電話営業、貿易事務、証券会社の夜間シフトのコールセンターなど、書いててまだあるの?っていうくらい、荒れに荒れまくった経歴のわたし(笑)

色んな経験をしていると言えばそうだけど、よく言われる石の上にも3年…居られた試しがなかったのに、そんなわたしが求職者を面談なんてする資格ある???ていうか、何が言える???と入社後に急に不安になったのを覚えています。

しかも当時まだ27歳だったわたしは、何のライフイベントも経験していなかったので、子育てしながら派遣で働きたいとか結婚したから派遣でペース落として働きたい、みたいな方の話もイマイチピンと来ず。

一番苦手だったのがアラフォー、アラフィフのバリキャリ女性。更に外資系出身とか役職についてた女性とかムリーーー!!!となってました(笑)
もう、生まれてすみませんばりの、わたしなんかが面談してすみません、あなた様のキャリアについて、何も言うことありません、アドバイスなんておこがましいです!!めっそうもございません!!と、ビクビクしてました。

それでも、元来飽き性でおしゃべり好きなわたしは、毎日色んな方とお話出来ること、世の中にこんな仕事があるんだ!という驚きや発見、求職者の方が仕事決まる度に、かつて自分が仕事探しで苦労していたところから派遣に救われた日のことを何度も思い出すことが出来て、人生で初めて仕事が楽しい!と感じ、ガムシャラに働いていました。

憧れのロールモデルがやっていたこと

わたしには憧れの先輩がいました。
わたしを採用してくれて、教育担当もしてくれた先輩です。

入社してから、経歴大荒れのわたしを採用してくれたのはどうしてですか?と聞いたら、「ほかに人材業界経験者からの応募もあったんだけどね、たぶんその人のほうが即戦力だったと思うけど、あやさんは素直そうだったから。化けるかもなーって思ったのよ。」と。

今はもうりっぱなおばさんになったので、素直さはどこかへ忘れてきてしまった感があるのですが、当時のわたしは素直&単純だったので、この先輩の言葉がめちゃめちゃ嬉しく、化けますよー!!と更に仕事にのめり込んだのは言うまでもありません。

そして、その後自分が後輩になるであろう人材の採用面接をするときにも、先輩が言ってた素直さと化けそうかって結構大事にしている目線です。
素直さと化けられるか=職場にあわせて変化してゆけるかって、経験を凌駕することってよくあるなーと感じます。

憧れの先輩は、誰に対しても同じようなスタンスで一貫していました。社内の誰に対しても求職者にも、優しい言葉や声がけだけではなく、言いづらいような内容や指摘もズバっと言うんだけど軽やかでありながら、ちゃんとそのひとに刺さるような伝え方の出来るひとでした。心底尊敬していました。

いつかわたしも先輩のようになりたいなーと。

派遣スタッフからの相談って本当に色々で。
面接に行くスーツが無いから貸してとか、顔合わせへ行く交通費無いから貸してとか。思っていた内容と違うから今すぐ辞めたい!とか時給上げてくれとか職場で悪口言われてるから辛いとか全然仕事出来るようにならないんだけどどうすれば?と心配で泣き出しちゃう方とか。あなたがこの仕事おススメだって言うから入ったのに、仕事が難しい、人間関係が最悪、どうしてくれんの!!!とか。

先輩は、派遣スタッフからどんな相談が入っても30分くらい話すと解消してしまうという魔法使いのようなひとでした。ものすごいキレッキレなクレームが入ってきても、30分後にその相手と談笑していたりするんですよ(謎)そして成績もいつもトップ!

で、先輩に聞いたんですね。
どうしてですか?秘訣は?と。

そしたら先輩は、

「いつも、相談してきたひとのお姉さんだと思いながら話してるからかな。」

と答えてくれました。
(ちなみに先輩は一人っ子)

正直、わたしにとっては拍子抜けでした。
え?それだけ!?

とりあえず、徹底的にパクる

素直&単純なわたし(2回目)でしたから、憧れの先輩がそう言うなら、わたしもやってみるかーと。

わたしには実際に妹がいるから、お姉ちゃん感は先輩よりも備わってるはずだしな、と。

とりあえずハードなクレームがきても、このひとは妹!って思うことから始めました。
わたしはこのひとのお姉ちゃん!と心の中で唱えながら。

すると、回を重ねるごとに先輩の言ってる意味が何となくだけど、少しずつわかるようになりました。

わたしの場合ですが、友達だと何か思うところがあってもズバズバ言えません。他人にそんな言われたら腹立つだろうなとか悲しいだろうなと思うので。本音と建前の建前部分多め。

でも妹だと、相談が何であれ、たぶん何でも丸ごと受け止めることが出来る気がする。それが倫理に反するようなことであったとしても。基本全面的な味方だから。その上で、厳しめのことでもハッキリと伝えるんですよ。
ちゃんと言えば伝わるのがわかってるというか、常に本音しか言わないので。もし一時的に気まずくなったとしても、一晩寝ると元に戻るし。気まずくならないように、本来言いたいことや言うべきことを言わないという選択肢が姉妹の関係だとないんです。

先輩のお姉ちゃん的存在作戦を丸パクリし、派遣スタッフと本音に近い話が出来るようになったからなのか、会社でのわたしの成績が上がり続けました。異動したりしながらも10年くらい勤務しましたが、実績が下がることはほとんどありませんでした。特別なことをしたわけではなく、お姉ちゃん的存在作戦のみです。少しはわたしも化けられたかな…

仕事への自信がついたことで、以前は恐怖の存在でしかなかった外資、バリキャリ、アラフォー、アラフィフ女性への緊張も感じなくなりました。今では自分も40代になったので、むしろ華々しいキャリアをお持ちの方と話すのは学びしかありません。

遠くからそっと見守るお姉ちゃん

前職を退職して、先輩とはもうお会いすることもなくなりましたが、あれから10年以上経った今も先輩のお姉ちゃん的存在作戦は続いております。

派遣スタッフの方が職場で何か悩んだら気軽に話してもらえるような、一緒に考えられるような。

これからのキャリアを考えている方には、経歴大荒れのわたしの体験談を交えながらお話して、どんなひとにもハマる仕事や職場があることを伝えたいし。

ベタベタするのではなく、気が向いたら話してください、いつでも、どんなことでも的な。

お姉ちゃん的存在であなたをお待ちしております!
(最後は唐突に宣伝 笑)


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