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フォネティックコード② -NATOの No.コード使ってみた-
こんにちは。
さて、前回はドイツ語のフォネティックコードについて書きましたが、今回は少しドイツ語以外にも目を向けてみようと思います。
タイトル画像にあるのは和文通話表と呼ばれるものの一部なのですが、フォネティックコードにはこのように日本語のものもあれば、ロシア語など他の言語も存在します。和文コードは郵便業務に関連する語彙が多いことが面白いですね。
前回も少し書きましたが、ドイツ語のコードは使い古した感じもあり、何か他に使えそうなコードがないかと物色していたところ、面白そうなものを見つけました。それがNATOフォネティックコードです。というわけで、
NATOコード使ってみた
軍事同盟のコード、通話の緊張感高まりそうです( ̄▽ ̄;)。
とは言え、NATOのフォネティックコードは英語のスペルコードなので日常的に使われています。
私が注目したのは、数字のコードです。
曰く、
0=Nadazero
1=Unaone
2=Bissotwo
3=Terrathree
4=Kartefour
5=Pantafive…
発音しやすく、リズム良し。イタリア、ギリシャ、ラテン由来らしき接頭語も、普段これらの言語を使わない私には新鮮です。
早速、通話通訳の現場で実践してみました。(相手は英語母語者でした。)
結果。
あくまで個人的な感想ですが。
なんというか・・
嵐の夜に敵機の攻撃を受けて孤軍奮闘の船中から、高波に呑まれそうになりながらも必死に「3時方向に敵機!」的な信号を送るときの緊迫感が否めない(笑)。
ところでこの数字、例えば和文では1(いち)と7(しち)が聞き間違えやすいため、7は(なな)と定められています。同様に、2(に)と4(し)も紛らわしいので4は(よん)となります。
ドイツ語の場合も、電話口では私も数字を言い換えていることがほとんどです。例えば2(zwei)と3(drei)は語末の母音が同じで聞き間違いやすいため、2を(zwo)として母音を変化させます。同様に、数字ではないですが6月(Juni)と7月(Juli)も語末が同じ母音で紛らわしいので6月を(Juno)として母音を強変化させます。
それでは、国が違っても同じドイツ語圏なら共通したコードを使うのでしょうか?
Kaufmann, Konrad, oder Kaiser?
これはドイツ、オーストリア、スイスそれぞれのドイツ語圏でのKのフォネティックコードです。見事に違いますね。しかし多くのスペルコードは共通していますし、何よりも相手に伝わることが目的ですので、無線通信士の資格試験や、それが定められている職場でない限りは、Kは実際にはKongoやKoreaでも構わないのです。ただ、国ごとのコードにはその国らしさも出ているのでいくつか紹介したいと思います。
例えばÖ(オーウムラウト)。
ドイツ:Ökonom(経済)
オーストリア:Österreich(オーストリア)
スイス:Örlikon(スイスに本社を持つOerlikon社)
というように。
また前回書きましたが、ユダヤ系の名前ということで外されたコードがあったりなど、時代を反映している側面も垣間見ることができます。今でこそドイツのZのコードはZachariaで人名ですが、以前はZeppelin(ツェッペリン)だったこともあります。
さて、今回のドイツ語のフォネティックコード改新の裏には、言語のジェンダーニュートラル化の動きの中で、差別や偏見を生むような表現を避けるという動機がありました。コードが全て都市名に置き換わり、さてその効果はいかに。
次回は、新しくなったドイツ語のフォネティックコード、どれだけジェンダーニュートラルを達成出来たのか、検証してみようと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。