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『恋する惑星』とウォン・カーウァイの話
『恋する惑星』にはまった。
少し前に映画館で観た香港映画が面白くて、知り合いに話したら、「香港映画に興味があるならぜひこれを」と教えてくれたのが『恋する惑星』だ。
映画は割とジャンルを問わず好きだけれど香港映画は今まで触れる機会がなかった。
だから、『恋する惑星』を観て衝撃を受けた。
ストーリーがあるような、ないような、観ていても何だかけむに巻かれているような映画なのに、一つひとつのシーンやセリフが印象的で、何より数日かけてじわじわとはまっていく感覚に完全にやられてしまった。
香港の雑踏に紛れた少し変わった人たちの日常を描いているようで、でも、絶対に実在しない人たちのファンタジーを観ているようで、何とも形容しがたい雰囲気を魅力的な映像として見せてくれているようで、一言では言い表せない魅力がこれでもかと言うほどに詰まっている。
何よりも、観ているそばからふわふわと消えていくような感覚が心地よく新鮮だった。
物語の結末も、登場人物たちの未来も、何の答えも出ていないのに、ラストシーンにはなぜだか心を掴まれて、映画はそのままエンドロールを迎える。
ぼんやりとした空気のまま、ただ眺めるように映画を観るという体験をあまりしたことがなかったけれど、ウォン・カーウァイ監督の作品はそんな見方がしっくりくると思う。
『恋する惑星』以外の作品もいくつか見たけれど、そのどれもが似たような空気感を持ちつつもそれぞれ違う世界に引き込んでくれる。
私の中に突如としてやって来たウォン・カーウァイブームに乗り、まだ見ていない作品を追いかけていくのが、今、楽しくて仕方ない。