ふと思い出した、本棚に溢れる図書室のしおりの話
小学校の図書室を使う時、文庫本くらいのサイズの木の板の背表紙部分に名前を書いて、その板を自分が借りた本の代わりに本棚に入れておくというルールがあった。
そして、返却の日にその板の場所に本を戻す。
借りた本の厚みがその板より厚ければいいが、薄い本ばかりの棚だと名前付きのその板がぎゅうぎゅうに詰まって、時々入り切っていない棚もあった。
板が入り切らず溢れてる棚はみんなが押し寄せる人気の棚で、セール会場の人だかりみたいだなと思っていた。
シリーズものの本を借りている時は、板をだんだん右に進めていくのが楽しかったし、その先に誰かの板があると追いついた時に返却されてるかドキドキした。
どの本を借りようかと棚を眺めていると、友達の名前を見つけ、あの子もこのシリーズ好きなんだなとか、こんな本読むんだなとか、知らない一面を見るようでそれも面白かった。
本を選ぶ時に人からどう見られるかを気にして選ぶ人は少ないだろう。自分の興味がある本を選んでいるから、その人の素直な"好き"を知ることができる。
特に言葉にすることのない"好き"が分かる空間って、ちょっとドキドキするし、優しい空間だったなと思う。
何年も思い出すことがなかった記憶だったのに、ポストに手紙を投函した時になぜかふと思い出した。図書館の本もポストに返却するからかもしれない。
このルール、今もどこかにあるんだろうか。