ベストボーイフレンド
気になっていた『恋人はアンバー』を観た。
女性が好きな女の子・アンバーと、男性が好きな男の子・エディが同級生たちからの嫌がらせや親の関心をそらすために高校卒業までの間、恋人のフリをしてやり過ごそうと手を組む。
同性愛者であることを隠し、周りの好奇の目を避けるという目的が一致してお互いに助け合うかたちで始まった恋人のフリ。最初はぎこちない2人だけど、単なる友情以上の信頼関係でつながっていく。
アンバーはいつか地元を離れて同性愛を理由に好奇な目に晒されない自由な生き方を手に入れようとしている。
一方、エディは同性愛者である自分自身を認めることができずにいる。
"普通"の恋愛をすること、男らしさや女らしさを求められることに疲れている2人だから、一緒にいればお互いがお互いの居場所になれる。
お互いのいちばん触れたくない心の奥には触れず、だけど心底お互いの気持ちが分かる。ある意味親友とも恋人とも違う、それ以上かもしれない居心地の良さがあって、エディは物語の終盤でその居心地の良さに逃げようとする。
アンバーに逃げ道を見出したエディを見て、恋人にするならどんな人がいい?という、修学旅行の夜の恋バナみたいな会話の中で"いちばん仲のいい異性の友達と付き合いたい"と言った自分を思い出した。
いちばん仲のいい友達と、恋人に求めるものは近いようで、きっと違うものだと思う。そう思ったから、アンバーはエディの申し出を断ったんだと思う。
その後、エディとアンバーの偽恋人関係は卒業を待たずに解消となってしまう。エディは心ないセリフでアンバーを傷つけてしまうけど、それでもアンバーはエディが心からの幸せをつかめるようにアシストしてくれる。
アンバーとエディがそれぞれの道を前向きに歩き始める姿を見て、自我の葛藤を乗り越えたり環境を打破するパワーを感じた。
曖昧なまま、なんとなく居心地は悪くないから留まり続ける環境よりも、自分が本当に手に入れたいものに向かって全力で向き合って、その先の幸せをつかみたい。
それで失敗をしたとしても、きっと後悔はしないし、エディもアンバーも失敗した時にはお互いのことを遠くて思い出すんじゃないかと思う。
どこにいても、自分の心の奥にある本当の気持ちを押し殺す必要がなくなればいいな。
マイ・ベストボーイフレンド&ガールフレンドのちょっと不思議な友情の話。