「科学する心」を読んで

「科学についての自分の考えを整理し、抽象と具象の中間を行く思索を試みる」という著者の幅広い内容をカバーする科学エッセーです。進化論、分類学、無限と永遠、原子力、日常の科学、AI、古生物、など、全12のテーマについて、著者ならではの視点で思索が進んでいく、上質な科学エッセーで、読んでいるうちに著者の考えに巻き込まれて、自分も、自然と考えを促される、という、非常に面白い内容でした。この「巻き込まれる」というところが、文学的な語り口の面白いところだな、と感じました。自分の知っている内容をなぞりながら、ある瞬間に、ポッと飛び出し、また、元のところに戻り、と、振り回される中で、自然と自分も巻き込まれていく、という読書体験でした。

身近なテーマや話題のテーマ、といった誰もが知っていそうな内容を取り上げつつ、そこから著者の考察の進んでいく、というところで、ふと、「こんなものも関わってくるよ」という話題の転換であったり、実体験の語り出会ったり、科学をこんなに文学的に語ることができるんだな、と、とても興味深い内容でした。

あまりに面白くて、一回読んだ後に、またすぐに読み直してしまいました。

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