「クモの奇妙な世界」を読んで

見たことはあっても、よく観たことはない。本書を読んで、自分にとっては、クモはそんな存在だな、と思いました。本書は、奥の深いクモの世界を、分かりやすく、そして、愛に満ちた言葉で語りかけてきます。本書を読むと、次にクモを見たとき、きっと違う見方をするのだろうな、と思いました。

本書は、クモの生態、網、食事、進化など、幅広い内容を、分かりやすく解説しています。メスとオスの体の大きさが違う理由など、生態と進化の点から、どうして、そのようになっているのか、という説明は、読みながら、なるほど、と思いました。また、体の大きさの違いも、最大のものだと、人と象ほども違うなど、驚きの内容でした。

クモの網というと、いわゆる円状のもの、というイメージが強いのですが、網自体も、いろいろな種類に区分ができる、というのは、初めて知りました。野山を歩いていて、クモの巣が引っ掛かったな、と思い、払い退けた時に、払い退けやすいものと払いにくいものがあった、というのも、本書を読んで、そういうことだったのかな、と、面白く感じました。網を張らないクモもいる、というのも、非常に興味深かったです。網を張るために糸を出すのではなく、獲物を捕まえるために、吐き出すのも、面白い、と思いました。

クモと人との関わり、という部分を述べている箇所も、各種研究結果や、生物多様性の評価マニュアルなど、説得力があるものを例示しつつ、文化的にも馴染み深いものである、という説明は、読者にもクモって身近なものだということをわかりやすく説明していてよかったです。

本書を読むときは、YouTubeなど、クモの動画をすぐに見れる環境だと、面白さが倍増するかと思います。本書で説明されているクモの生態であったり、クモの特徴、というものは、動画で生き生きとしたクモの姿を見ることで、より深く理解できると思います。

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