「脳のなかの幽霊」を読んで

脳のなかの幽霊

脳のなかの幽霊 Ｖ・Ｓ・ラマチャンドラン(著/文) - ＫＡＤＯＫＡＷＡ

ラマチャンドラン博士の出会った患者の様々な症状から推論を展開し、脳の中で何が起きているのか、そのメカニズムを解き明かしていく、という内容です。幻肢、盲視、半側無視、病態失認など、様々な症状を推論を進めていきます。そして、推論から導かれた実験で、損傷を受けた脳の中で、どのような事が起きているのか、ということを解き明かしていきます。症状の描写と、そこから、著者の知識を動員して、何が起こっているのかを推測、実験による検証と、さながら推理小説のような文章の面白さがあります。脳科学による脳のメカニズムの理解から、意識とは、自己とは、という問いが、どのように現在考えられるのか、ということを「クオリア」というキーワードから検討が進んでいく後半部と、本書の射程範囲の広さは、圧巻でした。