「「治る」ってどういうことですか?」を読んで

國頭先生と現代医療をめぐる様々な難問を看護学生との議論を一冊にまとめた本です。臨床医として経験の豊富な國頭先生が出す難問(代替治療、AIと医療、家族ケアなどという答えが出ていない問題)を、まだ現場での経験のない看護学生が様々に考え、議論を展開していく、という内容です。議題の範囲の広さから、現代の医療を取り巻く問題が、どれだけ広いのか、ということが分かります。議論の中で、國頭先生が、とりあえずの結論を提示するも、それに対し、更に議論を展開していく看護学生、という図は、きっとこの難問も、いつか良い解決方法が提示されるのではなかろうか、と感じさせるものでした。「言葉の使いかた」で繰り広げられている議論は、まさに、看護学生たちの思考の深さ、とにかく意味を考えて理解していこうとする姿勢を強く感じさせる場面でした。現場を経験していないからこそ、限界を感じさせずに自由に考えられる、という面と、この自由な思考が現場で必要とされているのだろう、と感じる面があるのではないかと思いました。この本で議論されている具体的な事柄は、医療の現場での話ですが、ここで考えられている内容は、医療の現場に止まらず、様々な場面でも活かされると感じました。この看護学生さんの枠に収まらない思考は、いろいろな場で必要とされているものだと感じました。

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